自分の「眼」を知ることで、自分の人生を変える

2019.3.10

livest!編集部

私たちは重要な眼について、あまりにも知らなさ過ぎる

自分の「眼」を知ることで、自分の人生を変える

 

「観の目強く、見の目弱く」

これは宮本武蔵の言葉で、「観」は心で見て、「見」は眼で見るという意だ。

「眼」とは「露出した脳」とも喩えられる。脳神経の指令系統のうち、半数が眼の動きに関わっている。それほど、眼は私たちにとって重要な器官であり、外部の情報収拾の面で「眼は露出した脳の一部」と言っても過言ではない。
しかし、私たちはそれほど重要な眼について、あまりにも知らなさ過ぎる。

 

「見る」とはどういうことか?

「見る」=「視覚」の測り方について、私たちがすぐに思いつくのは視力検査だ。
片目を閉じ、「C」のマークの上下左右どこが開いているように見えるかを測定し、2.0や1.5などの視力の数値を出した経験は誰にもあるだろう。

しかし、この視力検査でわかることは、じつは私たちの「見る力」の一部でしか過ぎない。
「視力」というのは、固定の数字で表せるものではなく、その時々の状況や心情によって大きく変わってしまうからだ。
視力検査を受けた際、「今日はなぜか視力検査の数値が低いな(高いな)」と感じた経験を持つ人は多いだろう。
考えてみれば、視力検査をする環境はその時々でバラツキがある。しかも、ほんの一瞬の測定では、その日の気分や体調によっても大きく左右されることは想像に難しくない。そのため、その人の視覚について簡易な視力検査で正確に測ることはほぼ不可能とも言えるのだ。

 

日本は「眼」に関しては後進国

さらに、日本では眼鏡やコンタクトレンズを作る際、その店舗や併設した眼科で視力測定するが、測定者の経験や能力で大きく結果が異なることは否めない。
日本ではバラツキのある視力測定だが、海外では事情は大きく異なる。
例えば、ドイツでは取得するまでに約9年もかかる「ドイツ国家公認眼鏡マイスター」と言う資格がある。
またアメリカには、日本にはない「眼鏡学」という専門分野も確立されていて、「オプトメトリスト」という資格がある。医学的な面に重点が置かれているため、有資格者は「ドクター」と呼ばれる。しかし日本には国が認めた眼鏡士資格は存在しない。
日本でも2001年にようやく公益社団法人「日本眼鏡技術者協会」が認定・教育する「認定眼鏡士」という資格がスタートしたが、眼鏡やコンタクトレンズが手軽に購入できる環境でありながら、その検査方法や調節する技術整備はかなり遅れているのが実情だ。

視力検査では本当の「見る力」が測定できない理由

正しい視力検査は、「明視距離」(疲れずに物体をはっきり見続けることのできる眼と物体との距離。スマホなどでは約20センチ〜50センチ)と、「両眼視機能」(左右の眼で見た物体のズレを脳でどう処理しているか)の2つの検査を行うことで、その人全体の見方を掴む必要がある。
日本では片目ずつの検査を行うだけのことも多いが、実際の生活の中ではほとんどの場合、人は両目で見ている。
しかし、人の眼は左右の目から見た映像はズレが生じている。両眼から送られてきた映像のズレを、脳が情報処理し、調整して理解しているのだ。

 

だから、両眼視機能に問題のある人は、自身の眼球運動や、脳による融像(左右の網膜に映った像を融合し、一つの像として認識する働き)で、無理やりズレを修正して見ているため、目や脳が疲れやすい。
特に、情報量が飛躍的に増えた現代では、人間の能力を超えた情報処理力を要求されているため、両眼のバランスを崩している人が非常に多いという。
「なんとなく眼鏡が合わない」と感じて、眼鏡を作り替えても、日本の両眼視機能を考慮に入れない視力測定や視力の度数の合わせ方では、改善することは残念ながらないのだ。

 

私たちは「眼」についてあまりにも知らなさ過ぎる

特に40代となり、「最近、ものが見づらくなった」と感じている人は、安易に作ることのできる眼鏡を手に入れるのではなく、有資格者のいる専門店で相談するなどして、時間をかけて自分の眼に本当に適した眼鏡を作ることを心がけることをお勧めする。面倒だからと放置しておくのは論外だ。
外部情報の半分以上を取り入れる重要な器官であるにも関わらず、私たちは「眼」についてあまりにも無知で、無自覚だ。そのことをしっかりと意識して対処することで、見える世界が変わってくることは間違いない。そして、気分が変わり、仕事の質が変わる。眼に意識を持つだけで、人生さえ変えてしまうかもしれない。

簡単にできる「眼のタイプ」チェック法

①3mほど離れたところにある目標物と、真正面に向き合う
②手のひらで交互に目を隠しながら、左眼だけ、右眼たけで目標物を見て、位置のズレを確認する
③結果

(左眼で見る)目標物が右に動く
(右眼で見る)目標物が左に動く
→開散力が強い
眼を外側に開く力があり、ストレスがかかってもやり過ごすことがうまい傾向がある

(左眼で見る)目標物が左に動く
(右眼で見る)目標物が右に動く
→輻輳力が強い
眼を内側に寄せる力が強い、集中力があり、我慢強い傾向がある

 

参考図書

「視力を下げて体を整える 魔法のメガネ屋の秘密」

著:早川さや香

監修:眼鏡のとよふく

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