アジア制覇をめざす日本代表から学ぶべき姿勢

2019.1.31

livest!編集部

満員電車や交通渋滞で、私たちはなぜイライラしてしまうのだろう?

編集長のlivest!ログ
2019年1月31日

アジア制覇をめざす日本代表から学ぶべき姿勢

アジアカップで日本代表チームが素晴らしい戦いを見せてくれている。

最大の山場と予想された準決勝でのイラン戦で3-0で完勝し、グループリーグから無敗のまま、明日、カタールとの決勝戦を迎える日本代表。

そのイラン戦では日本代表の快勝ともにイラン代表のラフプレーが話題となった。

0-0で拮抗していた中、日本代表が先制ゴールを挙げたのは、インプレー中にも関わらずイラン代表チームの選手たちがレフェリーにアピールしている間隙を縫ってのものだった。

その後も思うようなプレーができないまま敗戦濃厚となったイラン代表は、我を忘れてしまったのか、日本代表の選手に対して必要以上に激しい接触を試みたり、プレーとは関係のない暴力を振るい始めて自滅した。

汚いプレーを続けるイラン代表に対して耐える日本代表の選手たちを見て、多くの日本人は彼らの冷静な対応を賞賛し、精神的に自滅したイラン代表を非難の眼差しで見ただろう。

「さすが日本人」と同じ国民として、相手の挑発に乗らずに自分たちのやるべきことを貫いた日本代表チームの立ち振る舞いを称えたニュースも多かった。

 

ともにアジア王者をめざして臨んだ準決勝。なぜイラン代表はイライラを抑えきれず、一方の日本代表は苛立つ相手を受け流すことができたのだろうか?

特に東京などの大都市圏で暮らしている人は、日々、通勤時間の駅付近や満員電車の中など、人混みの中を移動する機会が多い。また車での移動の際でも、割り込みや荒い運転をする車と遭遇することも少なくない。

他者との接触の機会が多い人にとって、ストレスが溜まる経験は日常茶飯事のことだろう。

そういうほとんどの時、相手の歩き方や車の運転の仕方に不満を感じ、瞬間的に「相手の方が一方的に悪い」と感じる。

「なぜ道の真ん中をスマホを操作しながらダラダラ歩くのか」「なぜ渋滞の列に平気で割り込み運転するのか」

そんなふうに社会の暗黙のルールを乱す相手に対して、イライラし、時にクラクションを大きく鳴らしたり、睨みつけたりしたくなる衝動に駆られる。

しかし、そんなことをしてもストレスは解消しないし、問題は1つも解決しない。むしろ自己嫌悪の気持ちを混ぜ合わせたストレスは増大し、言い合いになったりして問題が悪化することも少なくない。

そんなことは百も承知でも、それでも社会の暗黙のルールを破る相手に対して、直接制裁を与えたいという感情が芽生えること、時にその感情が抑えきれなくなることは、忙しく広範囲に動き、人との接触も多いビジネスパーソンにとっては珍しいことではない。

イラン代表の選手たちはそんな気持ちを態度で表し、日本代表の選手たちは感情を出すことなく試合に集中することを最優先させた。

そして、大きな注目を集めたアジアの強豪同士の対決は、意外にも3-0という大差の試合で幕を下ろした。

先制点が生まれた場面。イラン代表の選手たちの心の中には、もしかすると「日本の選手がPKをもらおうと大げさに倒れた」という「自分たちのルールを破った許されない行為」という思いが芽生えたのかもしれない。そしてその行動に対して、大きく異議を唱えた。

また反則ではないギリギリの範囲で粘り強くディフェンスする日本の選手たちのしつこいプレーに、自分の中に描いたイメージを邪魔する行為だと感じ、思わず文句や手が出てしまったのかもしれない。

それはまるで「道の真ん中をスマホを触りながらダラダラ歩く人」に対して、「忙しいビジネスパーソンが多いこの道は、スムーズに歩くことが社会の暗黙のルール」であり、その(自分の中で勝手に決めた)ルールを破る相手は文句を言われても仕方のない存在だと感じてしまう気持ちのようなものかもしれない。

明日の夜、日本代表は5度目のアジア制覇をめざして決勝に挑むサッカー日本代表チーム。

23時キックオフということで、多くのビジネスパーソンが夜更かししてリアルタイムで日本代表の選手たちを熱い気持ちで応援することだろう。日本代表の選手たちはきっとカタール代表相手でも、ルールの範囲内で冷静にプレーし、自分たちが今すべきプレーに集中し続けるだろう。

毎日の満員電車通勤や混雑が激しい場所での移動を余儀なくされるビジネスパーソン。私たちにとって、その行動は社会の暗黙のルールを破る人を糾弾するための時間ではなく、その先にある自分のめざす大きな目標達成のためのプロセスだということを忘れないようにしよう。

みんながそういう気持ちになれば、満員電車内でのギスギスした雰囲気や混雑した場所でのイライラした空気は少しずつ減っていくような気もする。その結果、みんなのストレスが少しずつ減っていけば、きっとみんなの目標達成にも繋がっていくかもしれない。

サッカー日本代表が、アジアチャンピオンとなること、そしてその先のもっと大きな目標を見据え、目線を上げてプレーしているように。

関連記事