自分の限界を引き上げる〝共感〟の力

2019.6.10

安彦考真

安彦考真のリアルアンサー「J3リーグ第11節を終えて」2019年6月9日

J3リーグ第11節、Y.S.C.C.横浜 vs. ギラヴァンツ北九州の試合は、6月9日にニッパツ三ツ沢球技場で行われ、ホームのYS横浜は0-2で敗れた。

開幕から全試合でベンチ入りしている安彦考真選手はこの日も試合終盤、1点差を追いかける場面で途中出場。ゴールをめざすも直後にチームは失点してしまい、そのまま敗戦のホイッスルを聞いた。

北九州は今シーズン好調を維持。J2昇格を狙える位置につけ、首位のロアッソ熊本を勝ち点1で追走。一方のYS横浜は勝利すれば一気に上位進出も狙えたが、勝ち点を奪うことができず足踏み。

ただリーグはまだ混戦状態が続いている。15位のYS横浜から5位のカターレ富山まで勝ち点差はたった5。まだ上位には連勝で手が届く距離にいる。この日の上位チーム相手の敗戦を引きずらず、改めて上位進出の機会を狙うYS横浜。

一方で、安彦考真選手はゴールを期待されて投入されたものの、逆に突き放される展開になり、途中出場のFWとして結果を出せなかった責任を痛感する。

上位相手の敗戦に試合直後は「仕方ない」という言葉が頭をよぎった安彦考真選手の気持ちを再び奮い立たせたのは、〝共感者〟からの言葉だった。

リアルアンサー

2019年6月10日

Y.S.C.C.横浜

安彦考真

目を覚ましてくれた〝共感者〟からの言葉

北九州は強かった。だから余計に悔しい。
「勝てる試合を落とした」という意味ではなく、ここを勝つことで我々の進化がはっきり示すことができるはずの試合だったからだ。

だから、余計に悔しい。

僕の出場時間は5分あったかないか。
0-1のビハインドで投入されたFW役割は明確だった。
ゴールをこじ開け同点にすること。そして逆転まで持っていく空気を作ることだった。

しかし、結果は0-2の負け。

「何もできなかった」
それが率直な感想だ。

試合終了直後は、「早く切り替えてしまおう」という気持ちだった。
「何もできなかった」という気持ちの裏には、正直「もう少しプレー時間が欲しかった」という言い訳も入っていたからだ。
しかし、試合を終えてスタジアムの外に出た時、その思いを打ち消す出来事があった。

YS横浜は試合終了後に必ず「お見送り」というファンとの交流を行っている。
試合を終えたばかりの選手が、ユニホームのままスタジアムの外に出て、ファン交流をする。写真を撮ったり、サインを書いたり、厳しい言葉を頂いたり。。。
そこに一人の男性が声をかけてくれた。

「アビさん、いつもツイッターみてます」
これは声をかけていただく中で最近多くなってきたキーワードだが、その後の彼の一言に驚いた。
「アビさんを見るために山口から来ました」

彼は続けてこう言いました。
「ピッチで躍動しているアビさんを見れて本当に良かったです。普段はレノファ山口を応援していますが、今日はアビさんを見に…」
その瞬間僕は少しでも「もう少し時間があったら」と思った自分に無性に腹が立った。

与えられた時間が1分だろうが90分だろうがその姿を見に来てくれてる人がいる。大切な時間とお金をかけてわざわざスタジアムに足を運んでくれている。ツイッターなどでの発信が誰かの心を動かし足を運ばせている。

僕にできることは与えられた時間の中で120%の表現をすることだ。
もちろんこの試合でも120%の自分を表現した。でも、それはこの彼に会う前の自分の120%だった。

彼の言葉を聞いて、自分の中で勝手に決めつけてしまっていた「限界値」が一段上がった気がする。
この試合での120%はあくまでこの日の限界。でも、常に進化し続けることで自分の限界値は上がっていく。
「もっともっと僕は僕の想いを発信して、それに共感する人を増やしていきたい」
この思いが僕が自分の限界値を上げる原動力になってくれる。

「プロフェッショナルをアップデートせよ」

真のプロが本当の意味で「やり切った」と言えるのは、失敗を糧に常に努力し続けることで失敗の経験を〝部分的成功〟に変え、それを1つずつ積み重ねることができた時なんだということを、山口からわざわざ来てくれた〝共感者〟が教えてくれた。

次節に向けての積み重ねはもう始まっている。
さぁ、アップデートした自分に出逢おう!

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