「日本サッカーとは何か?」を語る基準の不在

2019.6.10

安彦考真

安彦考真リアルアンサー「日本代表 vs.エルサルバドル戦を観戦して」

2019年6月10日

リアルアンサー

Y.S.C.C.横浜

安彦考真

「日本サッカーとは何か?」を語る基準の不在

いや〜久保くんは凄い!!

日本代表でのデビュー戦って、誰もがもっと気負う感じがあると思うんだけど彼にはそれがまったくなかった。

それはきっと彼が〝ゴール〟が違うんだろうなぁ。

彼のゴールは日本代表ではなく、もっとその先の何か。だからどんな場面でも平常心でいられる。本当にプロフェッショナルとしての志が高く、目標の置きどころが自分の中で明確なんだと思う。

それに対して、メディアとファンのレベルが違いすぎる。

久保くん登場前のざわつきはジャーニーズでも出てくるんかっていうくらいお祭り騒ぎだった。今、目の前で日本を代表する選手たちが真剣に戦っているにも関わらず…。

やっぱり日本には選手を育てるサポート文化がないと感じる。

久保くんのプロフェッショナリズムを考えると、そういったミーハー(今回みたい騒ぎ)的ものに流されることはないと思うが、今後は自分の思考を自分の言葉だけで発信していく彼だけのメディアを持っても良いのかもしれない。じゃないと、これからメディアやファンの娯楽のために面白おかしく使われて疲弊しまうことは容易に想像がつく。

彼の存在は、「日本サッカーが文化になるかどうか」くらいの大きなポイントだと個人的には思っている。

日本サッカーのど真ん中でプレーしている僕らJリーガーは、自分のこととして現状をしっかりと理解する責任があると思う。

日本代表の試合についてを語るより「久保選手代表デビュー」の話題が上回るこの現状が日本サッカーの文化の現在地。何をベースに何を語ればいいかと言う基準がないから、久保くんという「人ありき」での議論ばかり出てきてしまう。

久保くんのデビューをキッカケに日本サッカーとは何かを語る基準を作っていきたいと改めて思わされた試合だった。

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