〝理想的な健康体〟をめざすための第一歩は〝体の歪みの矯正〟から
アラサー&アラフォー世代からの健康習慣のスタートは、長時間のスマホやパソコン使用で生じた〝体の歪み〟を治すことから始めよう
東篤志
表参道ポルクス整骨院
スマホの長時間使用で増加する首のトラブルを簡単なストレッチ習慣で予防する
電車やエレベーターの待ち時間、周囲を見渡すとほとんどの人がスマホを熱心に覗き込む光景を目にするだろう。手のひらサイズのパソコンの誕生により、私たちの生活は格段に便利になり、ちょっとした待ち時間などの〝すきま時間〟でもメールや検索、情報収集が手軽にできるようになった。その一方で失われつつあるものがある。それは私たちの身体が本来持つ正常な姿勢と、骨格の歪みが引き起こす体の異常による健康だ。
「もともとパソコン作業が主なデスクワークのビジネスマンが首や肩の痛みを訴えての来院が多かったのですが、最近はスマホの長時間使用が原因とみられる方も増えていますね」
「表参道ポルクス整骨院」で院長を務める東篤志さんはそう語る。「痛みやコリをとって終わり」の治療で終わらず、痛みやコリの出ない身体作りまで提案することをめざし、2014年に同院を開業。整体や鍼灸での治療はもちろん、トレーニング指導や姿勢矯正まで行う総合的な治療を行う整骨院の院長として多くの患者と向き合っている。
また、野球で日本代表にも選出されるほどの実力もケガの影響でプレーを断念した経験から、同院とは別にトップアスリートをメンタルとフィジカルの両面からサポートするパーソナルトレーニング施設「ReNew」表参道の代表としても活動している東さん。
「痛みや不調を原因から取り除き、より充実した生活を取り戻すために、普段から自分の身体の状態を知り、悪い部分は早めに改善するという意識が大切です。特に体の歪みはさまざまな体調不良を招くので注意が必要ですね」
そう語る“整骨のプロ”東さんが「骨格から健康を整える」ための<歪みセルフチェック>の方法と、すぐにできて首のコリに効果的な<頸椎ストレッチ>を教えてくれた。
「美しさも健康も、自分の今の身体の状態を知ることが第一歩です。また最近はスマホの長時間使用によるストレートネック症状を発症している人が増えているので、その予防に効果的な首のストレッチを紹介します。ぜひ試してみてください」
「骨格から健康を整える」(1)自身の状態を知る<歪みセルフチェック>
「まずは今の自分の身体の状態を知るためにセルフチェックを行なってください。どこに壁とのすき間ができるかによって、現時点での身体の問題点が一目瞭然となります」(東さん)
やり方はとても簡単だが、後頭部と肩、背中、お尻、かかとのすべてを一斉に壁につけることは意外と難しい。たいていの人はどこかに大きなすき間ができてしまうだろう。
「健康な状態なら後頭部、肩甲骨、お尻、踵を壁にぴったりつけることができます。離れてしまう部位、すき間が空く部分を知ることで、身体のどこかに問題があると認識するところからがスタートになります」
1)素足で体のラインが見えやすい格好で壁に背をつけて立つ
2)後頭部、肩甲骨、お尻、かかとを同時に壁につけて立ち、壁に出来るすき間をチェック
【すき間ができる場所で分かる「身体の問題点」】
※人の体は個々で特性があるのであくまで参考です。
1. 頭が前に出てしまう
→ 頸椎(首の骨)の前弯が少ない。【ストレートネック傾向】
→ 胸椎(胸部の背骨)の前弯が強い。
→ 骨盤の後傾が強い。
2. 肩甲骨が離れてしまう
→ 胸椎(胸部の背骨)の前弯が強い。
→ 肩の内旋が強い。【巻き肩傾向】
→ 骨盤の後傾が強い。
3. 腰と壁にすき間が空きすぎる(手のひら2枚分以上)
→ 腰椎(腰の骨)の前弯が強い。【反り腰傾向】
→ 体幹のインナーマッスルが弱い
→ 臀部の筋肉の発達が顕著
「骨格から健康を整える」(2)首のコリを改善する<頸椎ストレッチ>
上記の「歪みチェック」で自身の身体の歪みや問題点を把握したところで、まずは最近増えている「ストレートネック」を改善するための頸椎ストレッチを東さんに教えてもらった。
「パソコンやスマホの長時間使用の人は、画面をじっと見るために無意識に下を向く姿勢が増えます。頚椎の角度が体の中心に対して0度で5kg程度、30度前に傾くと20kg、60度前に傾くと30kgも首に負担がかかるとも言われています。下を向き続ける結果、首周りの筋肉の過緊張が起こり、首の骨(頸椎)の前弯も失われてストレートネックと呼ばれる状態になってしまいます。また、首肩コリ、頭痛だけでなく、呼吸が浅くなったり、精神的にも意欲が低下することもあります。」(東さん)
これらの事に思い当たる人は少なくないだろう。今すぐ東さん直伝の超簡単「頸椎ストレッチ」をやってみよう。
1)床に仰向けに寝転ぶ
★注意点
頸椎がかたいと、首の後ろの筋肉が引っ張られ隙間ができる(頸椎の前弯)
※悪い状態の例
3)ゆっくりと鼻から息を吸いながら、アゴを引きながら後頭部を床に押し付けるようにする。
4) アゴをできる限り引き、首の後ろのすき間をできる限りなくした状態で、10秒キープ
※首周辺の筋肉(主に胸鎖乳突筋、斜角筋)がストレッチされる
※アゴを無理に引き過ぎて頭の後ろが床から離れないように注意
「座位でも立位でも壁の前であれば同じ運動が出来ます。また、上を向いて腕を上げながら深呼吸するだけでも体も心もリラックスするのでオフィスやご自宅で是非トライしてみてださい」(東さん)