腰痛は日常生活の少しした注意で予防できる!腰痛改善のスペシャリストが伝授する「腰のトラブル」予防法
4人に1人、約3000万人もの人が腰痛に悩んだり、腰痛予備軍という調査が厚生労働省から発表されている。世の中を見渡すと、みんな元気に暮らしているように見えて、実際は会社のデスクを囲む周囲の同僚の4人に1人が密かに腰痛で困っていることになる。
腰痛は関係のない人にとっては想像が難しいが、実際に腰痛に悩まされている人にとっては大問題。日頃の痛みに耐えるだけでなく、行動範囲が狭まり、気持ちまで落ち込んでしまう。なんとなく元気がなくなり、仕事にもプライベートにも明らかに悪影響を及ぼす恐ろしい持病といえる。
さらに腰痛の恐ろしいところは改善や完治が難しい点。マッサージに通ったり、コルセットなどの腰痛予防の器具を使っても、緩和しないだけでなく日々悪化していくばかり。「このまま歳を取ったら将来どうなるのだろう…」と不安になっている人も少なくないだろう。
そんな面倒な持病と向き合い、これまで3万6,000人以上の患者を治療し、腰痛改善させた実績を持つメディカルトレーナーの伊藤和磨さんが、日常の中で気をつけるべき腰痛を予防するヒントを教えてくれた。
伊藤和磨
「MARO'S Medical Fitness」
3万6000人以上の腰痛を改善させたプロフェッショナルが教える腰痛予防のポイントとは?
国民の4人1人、約3000万人が悩んでいる〝国民的持病〟といえる腰痛に関して、3万6,000人以上の患者を治療し、腰痛改善させた実績を持つメディカルトレーナーの伊藤和磨さんは、「腰痛になりやすい人は、じつは股関節の使い方に問題がある場合が多いんです」と語る。
腰痛に悩む患者のために休みなく治療する合間に、腰痛に関しての最新理論を学ぶために世界中を駆け回っている伊藤さん。その理論と技術は高く評価され、伊藤さんのもとに足繁く通うトップアスリートや芸能人、経営者は数知れず。多くのメディアからも、取材オファーが殺到する腰痛のエキスパートだ。
「例えばギックリ腰。発症する原因は、腰周りの筋肉や靭帯に過剰にストレスがかかってしまうため。本来、体を屈めたり、物を持ち上げたりする際は、股関節を支点にして、ウエイトリフターの様に『出尻』になければいけないのに、多くの人が腰を丸めて腰を支点にするため、ギックリ腰を再発させてしまうんです」
「出尻」とは、ちょうどウエイトリフティングで思いバーベルを上げる際、お尻を後方に突き出す姿勢のこと。一般的に腰をかがめる際、無意識に腰から曲げて行っているが、本来のカラダの構造として股関節を軸にカラダを曲げるようにできているという。その構造上の動きから逸脱して、腰からの動きばかり続ける結果、腰痛を発症する場合が多いと伊藤さんは指摘する。
「腰痛を防ぐには日常の姿勢や動作を正しく行うことが重要なんです」
スポーツに「フォーム=運動時の姿勢」があるように、生活動作にもフォームがあって、それを生涯維持する事が大切と伊藤さんは言う。
「ヒトは、生後3ヶ月から1歳になるまでの間に何百回と失敗を繰り返しながら、姿勢の制御と動作パターンを学習します。しかし小学校に通う頃から座りっぱなしの生活が始まって、大人になる頃には誤った姿勢と動作パターンが脳に刷り込まれてしまっている。ハード(身体)のメンテナンス(施術)だけでは、脳は何も学習しません。適切な屈み方やしゃがみ方などを練習して、ソフト(脳)をアップデートしていかなければ、いつまでも腰痛のリスクは消えないのです」
マッサージなどで痛みを取り除く施術だけでなく、1人ひとりの姿勢や動作の分析を行い、それぞれの状態に沿った姿勢と呼吸の矯正プログラムを作成して、コンディショニングとエクササイズを組み合わせた治療を行うことで「腰痛を再発しない体づくり」をめざす伊藤さん。
2002年、東京・恵比寿で「MARO'S Medical Fitness」を開業以来、いくつもの病院を回っても治らないと長く悩まされてきた多くの人の腰痛を、独自の治療によって改善。「腰痛に悩む人の駆け込み寺」として口コミで人気となっている。
そんな伊藤さんに日常の動作の見直しのポイントを教えてもらった。腰痛に悩む人はもちろん、長時間のデスクワークなどで腰を酷使している人は、ぜひ伊藤さんのアドバイスを参考にして、日常の動作を見直して、腰痛予防をしよう。
【腰痛予防チェックポイント(1)「座り方」】
■悪い例
「腰痛になりやすい人の座り方の特徴は『骨盤が寝た状態』。写真のような座り方では腰の部分にすべて負荷が集まっている状態になり、腰痛を誘発しやすい。特に足が揃っていると骨盤は寝やすいので注意。この状態で立ち上がろうとすると、うまく骨盤や股関節を使えないので、腰が反ったり丸まったりしてしまう。そのために腰への負担が強く、ギックリ腰になりやすくなります。これを1日の中で何度も行っていたら疲労や負担が蓄積してしまうので要注意です」(伊藤さん)
■良い座り方の例(スタックシッティング)
「腰痛になりにくい座り方として、腰・背骨への負担を無くし、骨盤を立てて無理なく椅子に座ることが重要です。両足を揃えるのではなく、片脚を前に出すことで骨盤を立てやすくなりますので、ぜひ取り入れてください」(伊藤さん)
①良い座り方(横から見た様子)
※イスに座る際は浅めに座る
※片方の足を前に出す(骨盤を安定させる効果あり)
(正面から見た様子)
②イスから立ち上がる(腰からではなく股関節から始動する)
【腰痛予防チェックポイント(2)「立ち上がり方」】
■悪い例
「悪い座り方にも共通しますが、立ち上がる時に腰が反りすぎたり、丸まってしまうと、腰・背骨への負担が大きいので、真っすぐな姿勢のまま立ち上がる事を意識することが大事です」(伊藤さん)
■良い立ち上がり方の例
(1)正しい座り方(スタックシッティング)の状態から前側のももに手を着き安定させる
(2)背筋を伸ばしたまま立ち上がる
※少しお尻を突き出すことを意識する
(3)後ろ脚をそのまま踏み出す。
※足を揃えると不安定になり、腰に負担が掛かるので、一歩前に出す動作を行う
【腰痛予防チェックポイント(3)「日常生活での動作」】
■床に落ちている物を拾う動作
「床などにある物を低い体勢で取る時には、腰を支点にせず、股関節の屈曲や膝の屈伸を使うことで、腰に負担を掛けないように注意する」(伊藤さん)
■台所などでの動作
「台所での作業などの際は、足を前後することで股関節が安定し、腰への負担を軽減します。さらに次の動作に股関節から移れるようになるので意識して取り入れてみてください」(伊藤さん)