優秀な人ほど陥りがちな「自分ですべて決定してしまう」という罠
編集長のlivest!ログ
2019年1月12日
「健康が気になる40代」が気をつけなければいけないこと
身体のあちこちにさまざまな変化が出る30代、40代。仕事最優先で人生の前半を走り続けた人にとっては、特に悪い変化を感じることが増えているだろう。
「そろそろ健康に気をつけないと」と思い始めた時、多くのビジネスパーソンが最初に起こす行動が、食事や運動に関する本を手にすること。
実際、書店に紹介されているランキングを見ると、実用本の上位にはさまざまな健康法やダイエット法を紹介した本がずらりと並んでいる。
実際、本を読んでみると、自分の中の情報がいかに古く、最新の健康情報と比べて勘違いが多いか驚いた人も少なくないはず。
身体にいいと思っていた習慣や食事、運動法がじつは身体に悪影響を及ぼす危険性があると知り、普段の生活や食事を根本から見直したり、変え始めた30代、40代は、健康関連の本の売上に比例して右肩上がりに増えてきていることは間違いない。
確かに最初は体重が減ったり、身体の調子が良くなったことを実感し、達成感を得た人もいるだろうが、その中の多くが一定期間を過ぎると、パタッと効果が感じられなくなったり、逆に悪化しているのでは?と不安に感じ始める人も多いと聞く。
その原因の1つに、「情報の取捨選択の難しさ」というものがあると感じる。
「健康に良い、悪い」とされる情報はキャッチしきれないほど世の中に溢れていて、時には正反対のことを言うものさえあり、結局どの情報を信じ、取り入れ行動するかは自分自身が自分の身体の状況や特徴を判断しながら篩に掛けるしか方法はない。
そこに「40代の健康の壁」が生まれる要因が潜んでいる。
「ほとんどの場合、人間たちは自分が望んでいることを喜んで信じる」
これは古代ローマの政治家カエサルのことを記した「ガリア戦記」の一節にある言葉だ。
たくさんある情報の中で、正しい情報よりも「自分が望む情報」を無意識にチョイスしてしまうというクセは古代ローマ時代からの人間の特性なのだろう。
自分だけで健康になろうとすれば茨の道
10年以上丁寧なケアをせず放置した身体を健康な状態に戻すための方法は、たいてい「苦痛を伴う」行為となる。
好き勝手に食べてきた食生活を改める食事の管理はツラいし、衰え始めた筋肉や心肺機能をトレーニングで鍛え直すのはできれば避けたいくらいツラい。
長期計画で40代の身体を健康な状態に改善するとなると、今まで楽してきた習慣の多くをそんなツラいものに変えなければならない。しかもビジネスパーソンとしての大変な業務を続けながらという難しさを抱えながら。
「ほとんどの場合、人間たちは自分が望んでいることを喜んで信じる」
健康に関する数ある情報の中で、多くの人は無自覚のまま最終的に「好み」で選択する傾向が出てしまう。
食事の管理まで徹底してくれるパーソナルトレーナーと契約し、彼ら彼女たちの指示を長い期間確実に実行し続けられる人は、身体が見違えるほど健康的に変わっていくだろう。しかし多くの人は、自分で情報を選択して、生活の中や運動習慣の中で自己管理し、微調整しなければならない。
本やネットに書かれた情報は間違ってはいないだろうが、必ずしもその情報は「その人」に合っているか、「その人の現状」に合っているかはわからない。
結果、それなりに自分に苦しいことを習慣にしている割には効果を感じられないというジレンマに陥ってしまう。
素人が競馬で馬券を当て続けることは難しい。1日馬券を買い続ければ、ほとんどの素人は損をする。
振り返ってみると、競馬新聞を読んだりネットで情報を得たりしながら、最後には素人である自分の予想を加味して馬券を買っていることに気づく。
競馬予想を仕事にして、競馬界の最前線で取材し、毎日ほとんどの時間を競馬の研究に使っている専門家の情報の中から、素人の自分のフィルターにかけて最後は好みで取捨選択すれば、勝ちに近づくよりも負けに近づく可能性が高くなるのはほとんどの人が同意するはずだ。
40代から始める健康法も、それと同様のやり方をしてしまう危険性があると言える。
「健康がきになる40代」が気をつけなければいけないこと。
それは自分だけで解決しようと思わないこと。少しお金がかかったとしても専門家を頼り、説明を理解し、納得した上で一定期間実行し続けることだ。
そして、専門家に頼りきりになるのではなく、同時に「自分の取捨選択のフィルター」の精度を高めることを忘れてはいけない。自分の身体のことを一番理解できるのは、専門家ではなく自分なのだから。
ということで一番最初にしなければいけないことは、自分の身体の状態や性格に合った健康に関する専門家を見つけること。
スタートラインの選択が人生の後半戦の健康状態を左右する。30代、40代で健康が気になり始めた人が一番時間とお金を使う必要があるのは、スタートラインなのかもしれない。