「食」で肉体は蘇る!40歳Jリーガーの体質改善物語(第8回)
ラストイヤーと宣言した2020シーズン。完全燃焼をめざした安彦選手は、まず体質を根本から改善することを試みることにした。
花粉症などのアレルギー、便秘、高血圧などの悩みを解消し、ケガしにくい身体に改善するため、人生初めての本格的なファスティングに挑戦した安彦考真選手だったが、開始してすぐに身体が想像以上の変化を見せ始めた。
これは40歳でJリーガーとなった1人の男が徹底的に「食」を見つめ直し、さまざまな療法に取り組んだプロセスを赤裸々に語る物語だ。
「食」に関するさまざまなアプローチを実体験し、その時々の心境や結果を正直に綴った安彦考真選手による「40歳から始める体質改善」のリアルストーリー。
第1回→ http://www.livest.net/real/4827.html
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「食」で肉体は蘇る!40歳Jリーガーの体質改善ストーリー
第8回
ファスティング開始早々、我慢の時が続いた
安彦考真
忙しく動き回る現代人。
スマホやパソコンを駆使して連絡を取り合い、新幹線や飛行機を乗りこなし、秒速で世界中を飛び回るビジネスパーソンたち。
自然とは程遠い環境で、電磁波に囲まれながら、僕たちはこの社会に生きている。
人類の歴史上、これほど自然と隔離され、人工的なものに囲まれて生活する時代は今までなかっただろう。
遠い祖先たちは、草木そよぐ風の声を聴き、澄んだ川の光の反射や海の波音に包まれ、緑は触れる山々の稜線を眺めて暮らしていた。
そんな環境とは対極の中、僕たちは生まれてからずっと生きている。
例えば、40代。
都会に暮らす多くの人の中で、身体のどこにも不調を感じないという人はなかなかいないだろう。
硬いアスファルトの上を駆け回り、イスに座って生活する僕たち。密閉された室内でエアコンディショナーが作り出す適温の中で暮らす僕たち。
高速や線路からの騒音、飛行機が通り過ぎる爆音、排気ガスの匂い……。
何が具体的に悪影響を与えているかは明確でなくとも、これらの近代社会の生活環境の複合的な影響が、僕たちの身体を蝕んでいることは間違いない。
特に40代。
40年懸命に生きてきたことによる身体の内外の経年劣化。加えて、子ども時代とは異なり、寝る時間も起きる時間も食べる物も食べるタイミングも、ほぼ自分の嗜好に合わせて選択できる立場となった。
僕らは無意識に偏ったやり方を心身に強いながら、欲望を食べて生きている。
つまり、僕が何を言いたいかというと、40年も生きていれば、プロアスリートでなくても身体のどこかに問題が出て当然ということだ。
僕の場合は、便秘と高血圧、そして極度の花粉アレルギー。そして、プロアスリートとしての厳しい練習や実戦による慢性的なケガ。
40年と少し生きてきて、僕の身体にはこれらが持病として染み付いてしまっていた。
ラストイヤーと宣言した2020年シーズンを悔いなく過ごすため、僕は「食」から体質改善をすることにした。
40年と少しの間に身体に蓄積され続けた「毒」を全部出し、好きなものを飲食し続けて負荷をかけてまくっていた内臓を休ませる。
そして、身体をリセットした状態から、必要なトレーニングをすることで、1年間戦い抜く肉体を作り直す。
コロナウイルスによる開幕時期の延期のせいで、時間に余裕ができたこともあり、この時期に思い切ってチャレンジしてみた。
その第一歩が、専門家の指導管理のもとでの「ファスティング」だった。
ただ普通の人が行うやり方では、毎日練習をし、体力や筋力を酷使するプロアスリートの僕にはちょっとハード過ぎた。
だからゆるいファスティング、お粥と酵素だけで2週間を過ごす「ゆるファス」を始めたのが3月19日。
最初は「空腹に耐えられるかな」くらいに思っていた僕だが、身体の変化のサインはそんな生易しいものではなかった。
「ゆるファス」を始める前に、今回のファスティングについて全面的にサポートしてくれることになったオーガニック食品などの取り扱う会社の社長である「きみたん」は、「こんな症状が出るから」とファスティングで体質改善するに前のめりな僕に事前通告してくれていた。
それは、おでこ付近の頭痛と後頭部から首にかけての頭痛。
そして、蕁麻疹と口のまわりに湿疹(ヘルペスのようなもの)が出るというもの。
「それらはどれも排毒の影響だから、薬を飲んだり塗ったりしないように」と、きみたんから強く指示されていた。
ちゃんと説明を聞いてはいたものの、「ほんまかいな」と半信半疑だった僕。
今となっては、そんな軽い気持ちだった自分を責めてやりたい(笑)。
ファスティングを開始した翌日の夜、早速、頭痛が始まった。そして、それは3日間ずっと続いた。
今までも頭痛になったことはあったけれど、それまでとは違うタイプの頭痛であり、しかも延々と続く痛みで、なかなか心の平穏を保つことができなかった。
本を読んだり、文章を書いたりする集中力も保つことが難しく、だからといってボーッとしようとしても、頭がズキズキ痛んで無心になることもできなかった。
そして、唇は荒れ放題となり、唇の端にはいくつもヘルペスのような発疹ができた。
それでも、リップなどの薬を塗ることは禁じられていた。僕の唇は荒れ放題のままで、すれ違う人がゾッとした目で僕の口元を見ながら避けて走り去っていくように感じた。
『おいおい、これが後どれくらい続くのか……』
僕は折れそうな気持ちを、なんとか堪えるのが精一杯だった。
この間、食事といえば、朝はお味噌汁だけで、お昼と夜はお粥だけ。
もちろん、この間もチームの全体練習や個別のトレーニングは続いていた。
(その後、外出自粛となって、チーム練習はなくなり、個別での自主トレに変わったが、空腹の中、トレーニングは続けていた)
「練習を終えた後、何を食べようか?」というのが、これまでのハードな練習が終わった瞬間の楽しみだった。
しかし、ファスティングを始めてから、練習後の食事はもちろん「お粥のみ」。
身体中の細胞が「エネルギーが欲しい!」とアピールする中、淡白なお粥を1杯すするだけで終わりの食事は、本当に精神的に厳しかった(苦笑)。
頭痛や排毒による発疹、そして空腹感を満たすことのできない簡素な食事。
スタート当初は、絶望の淵に立っている気分だった僕だったが、この苦しみの期間に、別の形でも顕著な変化が見られたことが、ファスティングを続ける支えとなってた。
それは、体重はもちろんどんどん減っていったが、血圧と脈拍が一気に下がっていったのだ。
僕の楽しみは、体重計や血圧計の数値がどんどん下がっていくのを日々眺めることとなっていった。
(つづく)
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第7回→ http://www.livest.net/real/4944.html