自分の中の「理想のプロ」をめざして

2020.5.5

安彦考真

「食」で肉体は蘇る!40歳Jリーガーの体質改善物語(第10回)

「食」で肉体は蘇る!40歳Jリーガーの体質改善ストーリー

第10回

 

自分の中の「理想のプロ」をめざして

安彦考真

 

思いつくままに書き始めたこの物語も、気がつけば10回も続いた。

本当にあっという間だ。

今回の連載記事は、これまでに僕が書いた記事の中でも特に注目してもらっているようで、SNSなどでも「読んでます!」というメッセージが多い。

 

自粛期間で時間に余裕がある人が多いのかもしれないし、サッカーに関する情報が無くて仕方なく読んでくれている人もいるのかもしれない。

あと、やはり年齢的に僕に近い人たちは、自分の身体について、健康についての意識が強くなっているのかもしれない。

 

昨日、僕の取材記事が日刊スポーツのウェブ版に掲載された。

42歳“0円Jリーガー”奮闘 コロナ禍でも雑草魂

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200504-25030359-nksports-socc

 

まさかのYahoo!のトップページに掲載された時間帯があったこともあり、あっという間に拡散され、コメント欄にもたくさんのコメントが上がっていった。

コメント欄を読んで、正直に言うと、僕は最初とてもショックを受けた。

もちろん聖人君子な生き方をしていないし、コロナウイルス感染の最前線で戦い続ける医療スタッフの方々(心から感謝しています)のように誰かの命を救っているわけでもない。

けれど、ただ自分の気持ちに正直に生きているだけだ。

 

もちろん僕の性格や、言葉の至らなさ、態度や顔(笑)に問題はあるのだろう。

けれど、少なくとも他人に迷惑をかけるようなことはしていないつもりだ。

 

サッカーの面でもこれ以上できないほど真剣に全力で取り組んでいる。他の選手が休息を取る間、リラックスする時間を使って、別のやりたいことをやっているだけだ。

時間の使い方という点では、他の人が休み時間に趣味の釣りをしたり、大好きなニンテンドーSwitchをするのと何ら変わりはない(つもりだ)。

 

コメント欄を読むと、「プロなのにほぼ無給」ということに対する厳しい意見が多いように感じる。

でも、個人的には、個々が一般論として使っている「プロ」という言葉に明確な定義がないためだと捉えている。

どちらかと言えば、こういう場面で使われている「プロ」という言葉は、個々が心の中で別個に捉える漠然とした概念的な装飾語であり、僕個人的にはコメント欄で使われている「プロ」という言葉自体はそれくらい曖昧なものだと感じる。

 

けれど、僕個人が自分の中で定義している「プロ」としての矜恃はしっかり持っているつもりだし、その言葉に対するリスペクトは最大限に持っているつもりだ。だから「プロなんて言葉に意味はない」とはまったく思っていない。

僕自身は、生きている人、働く人、頑張っている人は誰もがある意味プロだと思っている。

 

そして、みんなそれぞれ自分が思い描く「理想のプロ像」があると思っている。

けれど、その「理想のプロ像」の頂点は人それぞれバラバラだ。

例えるなら、みんなが自分の人生のプロをめざして登山をしているけれど、登頂をめざしている山がみんなそれぞれバラバラで、誰一人として同じ山には登っていないというイメージだ。

 

誰もが自分が思い描く理想に近づけるよう日々努力しているのだろうし、その理想に近くことが難しいからこそ「プロ」という言葉にさまざまな反応があるのだろう。

僕はそう考えている。

 

僕がやるべきことはヤフトピのコメント欄を読んで落ち込むことではなく、自分が思い描いている「理想のプロ」の頂点に向けて全力で登り続けること。そして、その姿を示し続けること。

万人が理解しやすい「理想のプロ像」には残念ながら僕はなれないかもしれないけれど、それでもどこかで誰かに何か伝わる部分があれば良いなと思っている。

 

最後になったけれど、まずは貴重な時間を使って取材してくださり、素敵な記事を書いて掲載してくださった日刊スポーツさんに心から感謝したい。

 

誰もが批判されることは嫌だ。僕もじつは批判には決して強くはない。

けれど、批判を気にして何もしない、目立たないでいることは、自分の人生にとって大きな損失だと思っている。

僕みたいに悪目立ちするのは嫌かもしれないけれど(笑)、あまり人の目を気にし過ぎながらひっそりと生きるより、人に迷惑をかけたり、法律を犯したりしないことは大前提に、堂々と我が道を行く気持ちは、人生の後半戦に向かう40代の人にこそ、ぜひ思い出して欲しいと思う。

前回(http://www.livest.net/real/4963.html)、実際にファスティングを始め、どんなご飯を食べたかを紹介した。

朝は味噌汁、昼と夜はお粥。この写真の食事だけで1日を過ごした。もちろんシーズン開幕に向けての練習も毎日手抜きなしで行っていた。

飲み物は炭酸水と、サポートしてくれている会社から支給されたティーポットで入れるお茶だけ。もちろんコーヒーなどはご法度。

空腹を満たすご飯を腹一杯食べる夢を見たし、とにかく甘いものが食べたくて仕方なかった。

最初は何度も食べ物に手が伸びそうになったが、サポートしてくれているたくさんの人たちの顔を思い浮かべて耐えた。

 

超絶苦しいファスティングが一週間を過ぎた頃、練習の強度も本格的な復帰メニューへと変わっていった。

さすがに激しいフィジカルトレーニングを続けると、エネルギー不足を実感するようになった。

試合に出るための身体作りのためには、もう少しエネルギー補給が必要だと感じた。

 

恐る恐るファスティングを勧めてくれたパーソナルトレーナーに電話で相談してみた。

「ファスティングの成果を損ねないで、食べるものを増やしてもらえないか」と。

 

そんな僕のワガママに彼は僕にこう答えてくれた。

「遺伝子組み換えでないものという条件付きで、納豆と豆腐はOK!」

そして「夜はお粥ではなく玄米を食べていい」と言ってくれた。

 

僕は泣いた(笑)

人生でこんなに喜んだことはないのではというくらい喜んだ!!(大げさ)

 

電話を切ると、早速、豆腐と納豆を買いに行った。

恥ずかしながら、納豆と豆腐のパッケージの裏面をあんなの凝視したのは初めてだった(笑)

遺伝子組み換えでないもので国産にこだわり、絹よりも木綿を選ぶようにした。(木綿の方がタンパク質、カルシウム、鉄分が絹の1.3倍で栄養価が高い)

 

ファスティング開始してから5kg減っていた体重は、固形物を食べられるようになり、また本格的なフィジカルトレーニングの成果もあり、71.3キロにまで増えた。身体中から「今、最高に調子が良いよ」という声が聞こえてきた。

じつはこの時期から、僕は自分の身体とそんな会話をするようになっていた。

もっと言えば、身体からの声が聞き取れるようになっていたのだ。

 

(つづく)

 

第1回→ http://www.livest.net/real/4827.html

第2回→ http://www.livest.net/real/4833.html

第3回→ http://www.livest.net/real/4864.html

第4回→ http://www.livest.net/real/4900.html

第5回→ http://www.livest.net/real/4907.html

第6回→ http://www.livest.net/real/4937.html

第7回→ http://www.livest.net/real/4944.html

第8回→ http://www.livest.net/real/4955.html

第9回→ http://www.livest.net/real/4963.html

 

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