「食」で肉体は蘇る!40歳Jリーガーの体質改善物語(第11回)
「食」で肉体は蘇る!40歳Jリーガーの体質改善ストーリー
第11回
ファスティングを終えた僕が一番伝えたいこと
安彦考真
緊急事態宣言の延長が決定した。
途中経過を見ながらも、今月いっぱいをメドに外出自粛要請などが延長される。
それは、Jリーグの再開(J3の開幕)の日程が不透明になるということでもある。
医療に携わる人、困った人を助ける自治体で働く人、休業を余儀なくされて経営が苦しくなっている会社の関係者の方々など、日々深刻さが増している現場で一生懸命に対処している人たちには頭が上がらない。
一方で、外出自粛期間が長くなったことで、制限のある中での生活スタイルにも徐々に順応しつつある人も増えてきた。
この感染症の流行で、社会のさまざまな場所で分断や断絶が生まれ、広がってきつつあるように感じる。
Jリーグは長く中断したままだ。J3に至ってはまだ開幕さえしていない。
多くの人たちにとっては、サッカーを始めスポーツのない日常というものに徐々に慣れつつあるように見える。
まるで少し前までオリンピックイヤーと盛り上がっていたのが嘘のように。
「不要不急」という言葉は曖昧だ。
同じものでも、人によっては不要だけれど、別の人にとっては不可欠なものという場合はある。
それはその人の価値観であり、人それぞれの人生との向き合い方の違いでもあるからだ。
果たして、サッカーはどちらなのか?
今、どちらと受け止めている人の方が多いのだろうか?
Jリーグが行われていても中断していても、自分の生活に特に違いはないという人も少なくないだろう。
そして、実際にこうやって中断している今、「サッカーなんてやってなくても、特に自分の生活には支障がないものだ」と感じているは増えているかもしれない。
ヨーロッパの多くの国では、早く再開してほしいものの上位にサッカーが挙がるという調査結果を目にした。
もし、同じ調査を日本で行った時、果たしてJリーグはランキングのどのくらいに入るのか。
僕たちJリーガーは、今まで感じることのなかった「真実の一面」を、この自粛期間に肌身を持って感じている。
「僕たちは、果たして必要な存在なのか?」
もちろん日本にもサッカーを愛し、サッカーに元気をもらっているというサッカー好きの人も多い。
そんな人たちからは、Jリーグは一刻も早く再開してほしいという声が(ありがたいことに)上がることだろう。
しかし、これまでスタジアムに応援に来てくださっていたサポーターの方々の中でも、今、自身や家族が体調を崩しているという人もいるだろうし、自粛によって仕事に悪影響が出てしまっている人もいるだろう。
そんな人たちにとっては、サッカーは大好きだけれど、今はそれどころではないはずだ。
僕はこの期間に、もう一度、自分がJリーガーとして存在する理由、そしてやるべきことについて、真剣に考えなければいけないと感じていた。
多くの偉大な先人たちの苦労と努力の積み重ねで、僕たちが大好きなサッカーをすることができ、そのプレーを見に来てくれる人たちがいる。
僕たちが人生をかけているのは、あくまで自分やチームのサッカーに対してだ。けれど、偉大な先人たちは、僕たちがサッカーに専念できる環境を手に入れるために、人生をかけて戦ってくれた。
その事実を、そのことに対する感謝を、僕たちはもう一度思い出し、これから自分たちがやるべきこと、サッカーへの向き合い方を考え直す必要がある。
僕のその自問自答の中での答えの1つが、先日の日刊スポーツでのインタビュー記事だった。
https://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20200504-25030359-nksports-socc
とても素晴らしい記事を書いてくださり、大きく扱ってくださって、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
けれど、限られた紙面スペース、限られた文字数の中で、僕の意図が100%伝えられた訳ではない。
言い訳に聞こえるかもしれないけれど、僕は「僕さえ良ければいい」「自分さえ楽しければいい」と思って行動している訳ではない。
僕は、自分が人柱になってもいいから、世の中を自分の言動で変えたい、1人でも人生をより前向きに捉えるようになる人を増やしたいという思いだけで行動しているし、インタビューも受けたつもりだ。
もちろんみんなに認められたい、愛されたいという気持ちがないとは言わない。
でも、それが無理なことはわかっている。
それは、僕がやっていることが、多くの人の常識からは外れてしまっているからだ。
常識から外れていることをしている人を見て不快になる人もいるだろう。和を乱すと捉える人もいるだろう。
そして、常識という幻想に縛られて、自分が自分らしく行動できていないことを認めたくない人たちにとっては、僕のような存在は憎むべき存在でもあるだろう。
「薄給の選手はプロとして認めない」「売名行為だ」「Jリーガーの名を汚す」
それらの言葉は、僕から見れば、ただの「常識という名の幻想」に縛られた感情から発せられた悪口でしかない。
そしてそれらの理性的でない感情的な言葉は、自分で納得して自分の好きな道を生きている僕の胸には響かない。
(正確に言えば、響かないふりをして痩せ我慢して踏ん張っている)
もちろん、好きなことをやっているからこその責任はあることは重々承知している。
だからこそ、僕は結果を出すしかない。
そして、今、僕は結果を出すために肉体改造に取り組んでいるのだ。
2週間のファスティング期間が終了した。
2週間というのは開始前からの予定通りのスケジュールで、僕は空腹と戦いながらも、なんとか計画をクリアした。
ファスティング開始以降、現在も僕は一切動物性タンパク質を取っていない。
肉はもちろん、卵もチーズも魚も取ってない。
そしてアレルギーの原因でもあった乳製品も取っていないし、化学調味料や添加物が入っているものは完全にNGにした。
その結果、毎年梅雨入りくらいまで悩まされ続けていた花粉症は99%なくなり、便は毎日2回しっかり出るようになった。
味覚も敏感になり、食べたい食材も変わった。
そして、血圧が115/82となり、脈拍は53ほどで維持。一方で、いったんは減った体重も72.5キロくらいにまで回復した。
始める前までは断腸の思いだった動物性タンパク質を取らないことも、今の体調の良さを考えれば大正解だったと言える。
今、「まったくお肉を食べたくはないのか?」と聞かれたらその答えはNOだ。
食べたいという思いはある。
ただ、それはファスティング前に食べていたお肉の美味しさが記憶として残っているからで、実際にお肉を食べたいのとは微妙に違うような気がする。
その他の変化というと、眠りが深くなったのと、目覚めがスッキリしている。
それからカップラーメンやジャンクフードは一切食べたいという気がしない。
つまり、僕にとってファスティングは大成功だったと言える。
ファスティングを終えた今、僕が言えること。
それは、こんな時だからこそ、体の不調や体力低下、アレルギーなどに苦しむ人たちに、ぜひ自分の身体と改めて向き合う時間をとってもらいたいということ。
そして、興味があるなら、ぜひ一度ファスティングを試してもらいたい。
「食」を通して自分を見るうちに、不思議なことに、今まで思いが至らなかった地球環境や人類の歴史にも興味が出てくる。
僕は、ファスティング以降、専門書を読み、栄養士などの専門家のアドバイスをより真剣に聞くようになった。
もう一度いう。
こんな時だからこそ、今一度僕らは未来をみて、今を生きていくことが大切だと思う。
食と通して、人を育む「食育」の根本が見直されるタイミングでもあると思う。
StayHomeはとても大事なこと。
手洗い、うがいもとても大事なこと。
でも家でジャンクフードばかり食べていたら、免疫力が高まらない。
免疫力を高めるために、食事を見直し、自分の身体と会話できるようになることを勧めたい。
何かを食べることより食べないことを選ぶことは非常に重要だ。
(つづく)
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