目的を見失った集団の暗い未来の予感

2019.10.15

安彦考真

安彦考真選手のワールドカップ予選「日本代表の試合観戦記」vol.2

2022年ワールドカップ・カタール大会に向けてのアジア2次予選が10日に行われ、日本代表はモンゴル代表と埼玉スタジアムで対戦。先発起用に応えたベルギー・ゲンク所属の伊東純也選手が3アシストの活躍を見せるなど6-0でモンゴルに快勝した。

勝って当たり前と見られる相手との大勢のサポーターが集結したホームでの公式戦。結果としてその期待に応えた形となった日本代表だったが、この試合を見た安彦考真選手は危機感を感じたという。
現役Jリーガーだからこそ感じる現在の日本代表を中心とした日本サッカー界の懸念点について、率直な思いをリアルアンサーしてくれた。

2019年10月10日

リアルアンサー

Y.S.C.C.横浜

安彦考真

「明確な目標を見失った集団の暗い未来」

6-0と圧勝した日本代表。
初戦のミャンマー戦を考えると難しい試合になると予想できたが、モンゴル代表との力の差は歴然だった。
今月15日にはタジキスタンとの試合がある。このタイミングで一度、日本代表について考えてみた。

今の日本代表にはビッグクラブでプレーしている選手がいるかというと、一人もいない。
ACミラン、インテル、マンUといったビッグクラブで活躍していた時代がちゃんとあった日本代表。海外組は史上最多と言われているが、そこは冷静に見なければいけない。
視聴率集めのキャッチフレーズに踊らされたり、久保選手だけに注目が集まり、本来見なければいけない"日本サッカー"から目を背けてはならない。

「このメンバーは日本サッカー界がどこをめざすために招集されたのか」ーーこのメンバーをみて、それをすぐに感じ取ることはできなかった。
ACミランやインテル、マンUでプレーをしていた選手がいた日本代表時代は、良い悪いに関わらずW杯優勝だと選手も言っていた。現実問題がどうであるかはさておき、この時のメンバーは少なからずその思いを体現すべくピッチに立っているのだということを見ている側も感じることができた。解説者のその選手たちが掲げた目的に対して論じることができた。

しかし、あれ以降、誰も"W杯優勝"を言葉にすることなく、自分たちがどこを目指すために集められている選手なのかを明確にすることがない。
もちろん目の前の一戦一戦を勝つことでW杯出場へと向かっているのだろうが、W杯出場が日本サッカーの目的だった時代とは違うはずだ。

選手選考は目的に向かうための大切な合図だ。ビッグクラブでプレーする選手がいない中、何を基準に僕らは彼らの戦いを見ればいいのか。
だから、日本代表戦の解説が酷くなる一方なんだと思う。
明確にされない「日本サッカーの目的」ーー今できるのは、スポンサーを逃さないためのヒーローづくりでしかない。それを久保選手になんとか任せようという流れにも無理がある。

これまで日本サッカーはアジアをリードしてきた。しかし、今欧州のビッグクラブで活躍しているのは、韓国やイランの選手。日本サッカーは今一度考える必要がある。
ビッグクラブでスーパースターを生む選手を育成していくのか、W杯で日本サッカーをしっかり示すための日本代表にするのか。
いい加減、監督ごとにスタイルを変えるその場しのぎのスポンサー向けサッカーをやめ、日本サッカーが目指すべき明確な目的を作り、そのためにJリーグが存在し、そのために指導者ライセンスがあるのだと言うことを、統一していかなければ、近い将来"日本サッカー"はアジアの頂点ではなくなる。
今のままでは、Jリーグはアジアの選手を育てる場所になり、日本人が育ち羽ばたく場所ではなくなっていく気がする。

アジアの未来は日本サッカーが背負っている。
日本が初めてW杯に出場してから20年。アジア諸国は長い年月をかけて着実に成長を遂げている。
今一度、日本サッカーアジアのリーダーとして、道しるべになるためにも、このW杯予選は非常に重要な位置をしめる。僕らが迷子になっている間に、アジア諸国は一つ一つ階段を登っている。
W杯出場するしないではなく、日本サッカーの目指すべき未来をしっかりと提示し、その目的に沿った選手選考がされるべきである。
もっと言えば、選手選考からアジアの未来が見えてもいいくらいだと私は考える。