「差別撲滅」のために今すぐ身につけるべき2つとは?

2020.6.23

安彦考真

安彦考真「人生の先輩から20代に向けてのリアルアンサー」18

「差別撲滅」のために、僕たちが今すぐ身につけるべき2つのもの

僕が考える「差別のない社会」とは?「差別のない社会に近づくための個々がすべき行動」とは?

【後編】

安彦考真

2020年6月23日

 

僕は「差別の根本」にあるのは「偏見と先入観」だと考えている。

偏見とは「十分な根拠もなしに他人を好きとか嫌いとかと判断する感情である」こと。

先入観とは「初めに知った事に基づいて作られた固定的な観念」こと。

僕がザッと調べたところ、これらの語句にはこんな意味として解説されていた。

 

「偏見と先入観」はともに、上っ面の情報だけを鵜呑みにし、その情報をあたかも自分の意見として認識することで生まれることで増幅する。

例えば、Twitterなどの投稿を見て、即断的に感じたことは「偏見の先入観」の余地が入りやすい感情だ。

たった140文字の中に、どれだけの正確な情報が書き込めるというのか。しかも無料で投稿できるものに責任の所在など存在するのか。

少し考えれば誰でもわかることなのに、多くの人はTwitterのたった1つの投稿を見て、すぐに「こいつは悪いやつだ」「痛い目にあった方がいい」と短絡的に考え、リツイートしたり、コメントしたりしてしまう。

そして、あとでその投稿がフェイクだと分かった時、取り返しのつかない事態に陥るということが日常的に起こっている。

“ジーコ超え”Jリーガーが他選手のSNS発信に「どんどん酷くなってる。でも自分じゃ気が付かないんだろうな。結構ヤバい」(Yahoo!ニュースより)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9fba84dae5196e726ef42eb35e74f8763b4a13f8?fbclid=IwAR0EhYbxVp2mn7LREOgOtEaK3lYWvKP3dNTpgE48Tkidx4C445kIlFLLpc8

 

そんな事態を招かないために僕らが心がけることとは一体何か?

まずは「深く幅広い教養を身につける」こと。

そして、そのためにも、できるだけ一次情報を取り入れる」ことが重要だ。

 

多くの人はTwitterなどの投稿を見て、感情的にリアクションしてしまう。

しかし、Twitterの投稿は少なくとも二次情報であり、内容によっては「又聞き」的な三次情報の場合も少なくなく、その過程で情報が歪曲されたり、逆転したりしている危険性もある。

そんなものに速攻で感情的リアクションをとったらどうなるか?

冷静になればわかることが、その場ではわからなくなるのも「教養不足」であり、「一次情報だけを取り入れる」という原則を無視した結果だと言える。

 

「これは一次情報か、エビデンスが曖昧な情報か」を判断するためにも「教養」は不可欠だ。

すべての情報に対して、1つひとつ正しい情報かどうかをチェックしていくのは大変な作業だし、実際は無理だ。

そうなると、ある情報を見た時に、その発信元や内容、根拠、他の情報との関連性から瞬時に判断する必要がある。

そのためには、歴史的知識や政治的知識、世界情勢や経済事情、文化芸術的知識などといった「教養」が短時間での判断に必要不可欠だ。

「差別的言動」かどうかを正確に判断するためにも、フェイクニュースに騙されないためにも、まずは深く広い「教養」を身につけること。そして、常に一次情報を入手する手段を確保し、その情報の真贋を判断できる能力を磨くことが重要となってくる。

僕はそう考えている。

「偏見や先入観」で他人の自由を奪ってはいけない。

そのために僕たちがすべきことは、ありきたりかも知れないが「学び続ける」ことだ。

学校を卒業したことで「学ぶ」ことが終わるわけではない。

 

「偏見や先入観」に蝕まれるのは、思考停止になっているのと同義だ。

そんな状態を回避するためにも、僕たちは常に学び続け、教養を高めていく。

そして「世の中の人すべては自分と違う」という当たり前のことを当たり前と捉え、それを前提とした立ち振る舞いをする。

僕たちはそんな時代に生きているという自覚を持たなければならない。

 

僕はこれからも学び続けることをやめない。そして、その学んだことを伝え続けることもやめない。

偏見や先入観を捨て、教養を高め、他者の自由を奪うような行動をしない。

そして、まずはたくさんの外国籍の選手と共存しているサッカー界に所属する選手たちが率先して、そんな姿勢をみせていかなければならないと僕は考えている。

 

「それは非現実的で、夢物語な戯言だ」と思う人もいるかもしれない。

そう思う人たちは現実を知らないだけだ。

僕の周囲のJリーガーたち、特に若い世代の多くが、自分たちの責任と影響力を自覚し、「どうすればピッチ外でも今まで以上に社会に貢献できるのか」「100年後によりよい環境を引き継ぐことができるのか」を真剣に考え、1人の人間として実践していこうと日々精進している。

この行動は次の時代を見据えた新世代Jリーガーたちにとっては、じつに〝当たり前〟のことなので、もしかすると固定観念に縛られた「古い思考」の人たちの目には見えづらいかもしれない。

しかし、このことは僕が掴んでいる一次情報だ。

実際に多くの若きJリーガーたちと日夜連絡を取り合い、議論し合い、そして密かに協力し合って行動している。

 

「Jリーガーはサッカーがうまいだけで、勉強もしていないし、社会のことを気にかけてもいない」なんていうのは、あまりに今の現実を知らない〝化石人間〟だけだ。

「偏見や先入観」はこんなところにも潜んでいること。そして「僕の知る若きJリーガーたちは、世の中を変える強い意志と力を持っている」ということ。

僕はそれらを声を大にしてみんなに伝えたいのだ。

(終わり)

 

前編→ http://www.livest.net/real/5411.html

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