ミュージカル「In This House 最後の夜、最初の朝」

2018.7.11

livest!編集部

ミュージカル「In This House 最後の夜、最初の朝」

2018年4月15日(日)※千穐楽

東京芸術劇場シアターイースト

 

公演期間 :2018年4月4日(水)~4月15日(日)

会場 :東京芸術劇場シアターイースト

 

Cast :岸祐二、入絵加奈子、綿引さやか、法月康平

 

脚本:

サラ・シュレジンジャー( Sarah Schlesinger )

マイク・リード( Mike Reid )

ジョナサン・バーンスタイン( Jonathan Bernstein )

作詞:サラ・シュレジンジャー( Sarah Schlesinger )

作曲:マイク・リード( Mike Reid )

日本語上演台本・訳詞・演出:板垣恭一

翻訳:主計大輔

音楽監督:桑原まこ

演奏:桑原まこ(Pf)、伊藤友馬(Vn)、林田順平(Vc)、中秀仁(Fl/cl)

美術:乘峯雅寛

照明:中村嘉雄(REDEL)

音響:戸田雄樹(エディス・グローヴ)

衣裳:KO3UKE

ヘアメイク:田中エミ

演出助手:小形知巳

舞台監督:上田光成(ニケステージワークス)

制作:ウォン・ジヘ

プロデューサー:宋元燮

 企画・製作・主催:conSept

 

 

初めての東京芸術劇場のシアターイーストは、コンパクトで見やすい良い劇場だった。

千穐楽ということでほぼ満席。そのほとんどが女性で、男は本当に数名いるかどうかで、その大半が女性連れだった。

男1人で観に来ている観客は皆無。最初「あれっ、そういう限られた熱心なファンが見る舞台かな……」とマニアックな世界に迷い込んだ初心者的な心配をしたが、舞台自体は特にマニアックなものでもなく、出演者もいわゆるアイドル的存在もいない感じで、たまたま女性が多かったのかな?と理由はわからず終い。

ただ知り合い同士は多いらしく、開演直前までエントランスで話しているグループが多かった。

 

ただ「岸祐二さんが出演しているから」という理由だけでかなり以前に購入したチケット。

内容などまったく予備知識のないまま鑑賞したが、アメリカで人気を博した演目ということで、ちょっと「FUN HOUSE」状態を心配したが、あれよりはディープではなかったが、設定が一見単純なようでその深層に別のメッセージ性があるという、上級者向けの演目だった。

 

男女4人が大晦日に偶然出会い、それぞれが徐々に自身の葛藤や悩みを告白していくーー。

ざっくりそういうストーリーで、「大停電の夜に」的な、舞台ではありがちなストーリー。

しかし、どこか浮世じみているところもあり、パンフレットを読むと「死者の懺悔」的な感じもあり。

ただ、後半からは至るところで涙を拭き、鼻をすする音が聞こえていたので、特に女性にとっては感情移入できる部分が多い演目だったのだろう。

 

子どもを病気で失った女性、結婚はしたいがまだ子どもが欲しいと思えないための結婚をためらう女性、結婚相手のために仕事を辞めたことになっていたが、じつはクビになっていただけの男性、大家族に生まれ、自身も自身の妻も大家族に加わることを望む男性(この人だけ葛藤がイマイチ分かりづらかった)

 

自身も、なぜあの時、あの人と結婚し、今を生きているのか……

お互いの人生を大きく変える結婚という決断について、当時はそこまで深く考えていなかったこと、今でもベストとは思えない、でも他の選択肢は考えられないという「あったかもしれない別の人生」という亡霊。

相手にとっても良かったのかどうか、確信が持てないままこの歳まで生きてきたという事実など、断片的ではあるか、今回の舞台を見ている間、自己投影して、いろいろと考えさせられた。

 

演出を務める板垣さんは、劇団「第三舞台」を経て演出家に。近年の演出作に『あさひなぐ(脚本)』『グーテンバーグ! ザ・ミュージカル!(訳詞・上演台本)』『フランケンシュタイン(潤色)』『扉の向こう側(上演台本)』、『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』、『TARO URASHIMA』、『フォーエヴァー プラッド2016』、『君は即ち春を吸ひこんだのだ』、『晦日明治座納め・る祭』、『シャーロック ホームズ2~ブラッディ·ゲーム~』、『夫が多すぎて(上演台本)』、『今度は愛妻家』など。(公式サイトのプロフィールより)

ということで、過去の作品は1つも観ることができていないが、今後の活躍がますます期待されるクリエイターとのこと。おそらく、まずはこういう小さな規模での作品で実力を示し、徐々にステップアップしていくのだろう。

そんなエンタテインメント業界での成長物語(になるかもしれない)の序盤をライブ鑑賞していくことも、演劇の楽しみの1つなのかもしれない。

 

余談だが、岸さんは、ミュージカル「レ・ミゼラブル」のジャベール役で一瞬で心を奪われて以降、出演される作品は帝劇の大作はもちろん、こういった小劇場での作品もできる限り観るようにしている。

今回は今までの渋いイケメン俳優というイメージではなく、ちょっとくたびれたパッとしないおじさんの役だったが、イケメン人気俳優の雰囲気を見事に消し去っていて、「さすが名俳優!」と1人感動していた(笑)

さらに余談だが、その後、帝国劇場での「モーツァルト!」の公演を観に行った際、偶然、岸さんを劇場の外で見かけたことがある。たまたま道ですれ違ったのだが、こちらが「おっ、岸さんだ!」という気持ちで思わずサングラス越しにガン見してしまったら、向こうも「もしかして知り合い?」という感じで見つめてくれて、しばらく男2人で(サングラス越しに)見つめ合う時間があった。

こちらがサングラスをして外を歩いていて岸さんをガン見したため、岸さんも(外でサングラスをして、俺をガン見しているということは……)という感じで、知り合いと勘違いしたんだと思う。その節は大変失礼しました。ただリアル岸祐二に目を奪われただけでした……。