「教育」プロジェクト<移民たちのリアルリサーチ>第5回
「なぜサッカー日本代表にはハーフ選手が少ないのか?」
他のサッカー強豪国と比べても、また他のオリンピック競技の日本代表の顔ぶれを見ても、国際化が進んでいる日本のサッカー界において、日本代表の中に多様なルーツを持つ選手がほとんどいないのはなぜ?
そんな素朴な疑問からスタートした安彦考真選手によるプロジェクト。
まずは自身の地元で暮らす外国人の実情を探ることに着手した安彦選手は、現在、市議会議員を務める学生時代からの友人を訪ねた。
自治体から見たリアルな現状について、安彦選手の「移民」に関する最新リポート。
第1回→ http://www.livest.net/real/4743.html
第2回→ http://www.livest.net/real/4767.html
第3回→ http://www.livest.net/real/4781.html
第4回→ http://www.livest.net/real/4890.html
市議会議員に聞く、地元に潜む「教育問題」とは?
相模原市議会議員、折笠正治氏を訪ねて
相模原市議会議員の折笠正治。
彼は高校の同級生であり、現在は僕が住む街のために日夜働いてくれている。
そんな彼に、今、自分がやっていること、そして隣町の愛川町のブラジル人コミュニティにアプローチしていることを電話で伝えた。
すると「僕が手助けできることがあるかもしれないから、すぐに会おう」と言ってくれ、多忙な時間をわざわざ割いて、僕との面談をセッティングしてくれた。
じつはこの折笠という男。今はスーツ姿で真っ当な大人になっているが、高校時は僕の悪友の1人(笑)
同じクラスでもなければ同じ部活でもない。(折笠はそもそも部活にすら入ってなかった・笑)
でも、なぜかことあるごとに不思議な接点が重なり、在学中はお互いの行動に注目し合っていた仲だった。
当時の僕らは、模範的な高校生とは程遠い自由奔放な態度だった(笑)。
けれど、仲間を大事にするという一点だけは、高校生の域を飛び抜けた価値観のもとに生きていた。それは今でも自負できるほど強烈な仲間意識だった。
(折笠正治議員ホームページより)
僕はサッカー部に所属し、プロになることをめざし一生懸命に練習に取り組んでいた。
誰よりも早くグラウンドに来て、誰よりも遅くまでボールを蹴り続けた。
ミスを連発するチームメイトに厳しく叱咤激励した。時に感情を爆発させた。
けれど、僕が所属するサッカー部は残念ながら全国レベルにはなく、注目されるような大きな大会で上位進出する力はなかった。
部員たちは、将来も長く続けるつもりでサッカーをやっているというより、あくまで部活動としてのサッカーという気持ちでいた。
だから正直その頃の僕はチーム内でも少々浮いた存在だった。
そして、僕が熱くなればなるほど、チームの空気は冷めていった。いつまで経ってもチームとしての成長は見られなかった。
結局、僕の高校3年間の部活動は、特に目覚ましい結果を残すことなくあっさりと終わった。
もちろん、僕個人にだけスカウトから声がかかるなんてことはなく、日本サッカー界でプロになるという夢は叶わないものとなった。
でも僕はプロになることを諦めたわけではなかった。
「なんとかしてプロになりたい」
その一心で、僕は高校卒業後に単身ブラジルに行くことにしたのだ。
新聞配達のアルバイトをしてお金を貯め、ついにブラジルに行けることになった。
ブラジルに行く当日、折笠はわざわざ成田空港まで見送りに来てくれた。
サッカー部のチームメイトでさえ誰一人来てくれなかった中、一度もクラスメートになったこともない、同じ部活で汗を流した訳でもないのに、折笠は(僕の家族以外では)たった1人わざわざ見送りに来てくれた。
当時手元のお金がなかった彼は、地元の相模原から成田まで特急には乗らずに鈍行列車で駆けつけてくれた。
それでもお金はそれなりにかかったはずだ。すごく時間もかかったはずだ。
その時はそんなことまで思いが至らなかったけれど、気軽にできる行為ではなかったことは間違いない。
帰りは同じく見送りに来た僕の家族が運転する車に乗って帰ったのだと、この日、本当にひさしぶりに会った時に、彼から笑い話として聞かされた。
折笠とはそんな関係だ。
細々とした、けれど何があっても切れることのない強い糸で繋がっていながらも、お互い時長い期間顔を合わせないまま時は過ぎ、昨年ひさびさに再会を果たした。
折笠は最初から市議会議員になった訳でなく、さまざまな社会経験を経て、一念発起、立候補し選挙で当選を果たして議員となった。
昨年ひさびさに会ったのは、折笠が相模原市議会議員に立候補すると聞いた時だった。
僕にできることはないかと思い連絡をとった結果、彼の応援弁士をすることになった。
彼の支援者や政治家のみなさんがいる前で、選挙に立候補した折笠の話をするのは、講演会を何十回とやっている僕でも緊張した。
話した内容あまり覚えていないが、どんな時でもピンチの時は支え合ったというような内容を話したと思う。
だから、そんな人の心わかる彼が市民を代表することに意義があると訴えた。
彼はすごく喜んでくれた。
その成果かどうかはわからないが、彼は見事当選し市民を代表する市議会議員となった。
市議会議員になると、折笠はさまざまな施策を担当していたが、「教育」に関する施策もたくさん携わっていた。
そんなこともあって、今「教育」に興味を持ち学んでいる僕とすれば、彼から話を聞かない手はない。
早速アポを取り、彼と面会したという訳だ。
(つづく)
第1回→ http://www.livest.net/real/4743.html
第2回→ http://www.livest.net/real/4767.html