安彦考真新連載「好きなことをしてお金を稼ぐ7つのルール」第3回
安彦考真
新連載
「好きなことをしてお金を稼ぐ<7つのルール>」
第3回
「子どもの頃の『好き』が『武器』になる」
子どもの頃に好きだったことは、大人になってからも好きであることは多い。
僕の場合は「サッカー」だ。
小学校の頃は朝から晩までサッカーのことばかり考えていた。
放課後は1秒でも早くグラウンドに出てボールが蹴りたいと、最後の授業はソワソワして落ち着かなかった。
もちろん、昼休みや長めの休み時間は、少しでもボールを蹴るチャンスがあればサッカーをしていた。
自分がプレーする以外でも、常にサッカー最優先の生活だった。
サッカーのことが知りたくて、友だち同士でサッカー雑誌を穴が開くほど読み込んでいた。
その時の世界のトップスターたちの名前やプロフィール、所属クラブや背番号は完璧に覚えていたし、彼らのスーパープレーは真似したくて何時間も練習し続けた。
「その情熱と集中力を勉強に生かせられないのか……」親にはいつも呆れられていた(笑)。
1994年のサッカーW杯、カナリア軍団の活躍は鮮烈だったし、悲劇のヒーロー、ロベルト・バッジョの復活劇とまさかの結末に熱狂した。
そして、その大会でワールドカップ初出場するはずだった日本代表が、最終予選の最後の最後に失点して出場権を逃したシーンは今でも鮮明に覚えている。
多くの人が小学校の頃を振り返ると、時間と情熱を注ぎ込んでいた「好きなこと」があったはずだ。
小学校には「昆虫博士」や「鉄道博士」が何人もいたし、「ドラえもん」や「ちびまる子ちゃん」のことならなんでも知っているというマニアもたくさんいた。
僕たちは限られた時間と予算の中で、全力で好きなことにのめり込んだし、その知識と情熱を胸を張って誇っていた。
僕がこれまでの人生を振り返ってみた時、あれほど1つのことにのめり込み、時間と情熱を注ぎ込んだ時代はなかったと改めて思う。
学年が上がるごとに勉強や部活にとられる時間は増え、空いた時間は仲間とダラダラ過ごすようになっていった。
高校生にもなれば、同じ図鑑や雑誌を何十回と暗記するほど読み返すことなんて絶対あり得ないことになった。
今、大人になってわかること。
子どもの頃にハマったこと、覚えたこと、楽しかった記憶は、今でもはっきり覚えているということを。
僕の周囲にいる「好きなことを仕事にする」を実現している人に共通すること。
それは、子どもの頃にハマったことを仕事につなげている人が多いということ。
僕のようにサッカーにハマった少年時代を過ごして、大人になってからもサッカーに関わる仕事を続けている大人は「好きなことを仕事にする」典型的なパターンだ。
他にも読書が好きで出版社で名物編集者として活躍している人もいるし、ダンスに熱中した子ども時代を経てダンサーとして海外で活躍している女性もいる。
もちろんそんなふうにダイレクトに「子どもの頃にハマったこと」をそのまま仕事にできる人は多くないかもしれない。
それでも、「好きなことを仕事にしている」人の多くは、子どもの頃にハマったことをなんらかの形で今の仕事に生かしている場合が多い。
僕たちは子どもの頃に無駄にハマった「好きなこと」で、知らず知らずのうちに大事な土台を作っている。
ただ、それを「子どもの頃の趣味だから」と別物と考えた瞬間、その貴重な時間と労力は本当に無駄になる。
「好きなことを仕事にする」ために大切なのは、今、勉強していることや仕事にしていることと、「子どもの頃にハマったこと」「情熱を注いだこと」とを掛け算して、新しい「自分が楽しく輝ける場所」を開拓することだ。
今、現状に満足がいかず「変えたい」と思っている人は一度試してみて欲しい。
記憶をタイムスリップして、子どもの頃にどハマりしていた時のことを思い出すこと。
そして、自分はどハマりしていたことの「一体何が好きだったのか」を分析してみること。
なかなか子どもの頃を思い出せないという人は、親や兄弟、その頃の友だちに「自分は何にハマっていたか?」を聞いてみるのもいい。
そこには生き生きと濃い毎日を過ごしていた「本当の自分」がいるはずだ。
もちろん子どもの頃の記憶や経験がそのまま使えるほど、大人の世界は優しくない。
けれど、時間と労力と情熱を注ぎ込んで得た知識や経験は、誰とも違う自分だけの武器となる「原石」そのものだ。
その原石の磨き方次第では、きっと自分の新たな武器になってくれるはずだ。
僕はずっとサッカーが好きだった。
そして、子どもの頃からサッカーのことばかり考えていた。
ワールドカップのような重要な試合は見れる限り見たし、活躍した選手のことをもっと知りたいと思ったら、調べることを欠かさなかった。
その結果、僕の人生のさまざまなターニングポイントで、そのことが生きた瞬間があった。
※大宮アルディージャで通訳をしていた頃の僕
僕を引っ張り上げてくれるような運命的な出会いをした時、緊張の中でも、その人の過去のプレーや活躍を覚えていたことが会話のきっかけとなり、一気に信頼を勝ち得たこともあった。
Jリーグクラブで通訳をしていた時も、新加入の外国人選手と、その選手の母国のスーパーヒーローの話や過去の国際大会での試合の話をすることで、すぐに信頼してもらえるようになった。
子どもの頃に「ただ好きだった」こと、純粋にどハマりしていたことが、大人になって僕をたくさん救ってくれた。
そのおかげで、僕はずっと大好きなサッカーに関わる仕事を続けることができたと言っても過言ではない。
今の仕事や環境に満足していない人は、時間がある時にぜひ子どもの頃を振り返ってみてほしい。
そこには、今から「好きなこと」を仕事にできるためのチャンスやヒントがたくさん眠っているはずだ。
教訓2
自分の「好き」を分析してみると、そこに自分の「強み」を発見できる