筋トレする前に知っておくべき5つのこと【その1】

2019.2.25

livest!編集部

「使えない筋肉」は存在しない。あるのは筋肉を使いこなしていないという事実だけだ

勝つために身体を鍛える

筋トレする前に知っておくべき5つのこと

スポーツ選手にとって、競技の質を高め、試合に勝つために筋力アップは重要だ。

しかし、自分だけで行う筋力トレーニングでは、なかなか成果が出ないと感じることも少なくないだろう。

プロアスリートなら専門的知識を持つトレーナーの指示を仰ぎ、最新のトレーニング器具を使って筋トレを行うことができるが、学生スポーツやアマチュアの選手は、自分だけで筋トレのメニューを考え実行しなければならないぶん、効果を出すのが難しくなる。

今回、筋トレをする前に頭の中をバージョンアップするための、5つのヒントを紹介する。

まずは「筋トレすると瞬発力が落ちるので、実戦練習の中で身体を鍛えるべき」についてを考える。

特に中学が高校で部活をしている選手や、趣味でランニングなどを行っているアマチュア選手に、実際に筋トレに取り組む前に知っておいて損はない「5つの常識」を読んでほしい。

 

【その1】

「筋肉は実践練習の中で体を鍛えるべき」は本当か?

 

器具を使った筋肉トレーニングの真の目的は、「体の内部の筋肉に効果的に負荷をかけ、筋肥大のための強い刺激を与えること」。

対してスポーツ動作の目的は、「大きな力を効率よく外部に発揮すること」。

そもそも目的が異なるので、当たり前だが筋トレだけではプレーの質が上がったり、試合には勝てるという保証はない。

しかし、プレーの質を上げたり、試合に勝つための筋力アップを求めるなら、実戦練習よりも筋トレの方が断然効果的となる。

 

通常のスポーツ競技は、特定の部位の筋肉に頼らず、体全体を効率よく使って外部へのパワー発揮を行う。そのため、特定の筋肉を鍛えるということに関しては効率が悪い。

一方で、筋トレは、あえて効率の悪い外部へのパワー発揮を行うことで特定の部位の筋肉を鍛えるため、鍛えたい筋肉を強く大きくするのには効率が良い。

プレーの質を上げるため、試合に勝つために必要な筋肉の強化が明確で、その筋肉を効率的に鍛える方法を理解しているなら、実践の中で特定の筋肉が強化されることを求めるよりも、筋トレを行うほうが圧倒的に効果的だ。

 

瞬発系のスポーツ競技の中で筋トレに対して慎重論が出るのは、強化すべき筋肉の正しい選別をせず、不必要な筋トレを行った過去の事例に良い結果が伴っていないためだ。

鍛えるべき筋肉を見定め、その筋肉を理想通りに鍛えることに特化すれば、確実にプレーの質が向上することは間違いない。

 

スポーツ医学的に、そもそも「使えない筋肉」というものは存在しない。

筋肉をうまく使えるかどうかは、筋肉自体の問題ではなく、筋肉の使い方、制御能力の問題だ。つまり、選手が自身の筋肉をうまく使えていないということだ。

唯一の例外として、筋トレはスポーツ競技としては「不自然で、特殊な動き」を意識的に行うため、筋トレを行うことで、この不自然な動きの癖がついてしまうという場合がある。

これが使えない筋肉といわれる遠因となっている場合は少なくない。

 

 

参考図書

「使える筋肉・使えない筋肉 アスリートのための筋力トレーニングバイブル」

ナツメ社 (2018年11月発行)

著 :谷本道哉(近畿大学生物理工学部准教授)

荒川裕志(国際武道大学体育学部准教授)

監修:石井直方(東京大学大学院総合文化研究科教授)

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