安彦考真「人生の先輩から20代に向けてのリアルアンサー」2
40歳にして、手にしていた安定を捨て去り、夢に向かって挑戦した安彦考真さん。その幼少の頃からの夢は現実となり、憧れのJリーガーとなった安彦選手は、今年3年目のシーズンを迎えている。
その無謀と言われた挑戦に臨み、見事に夢を叶えた安彦選手の言動に、多くの人は一歩を踏み出す大切さを学んだ。今回、そんな安彦選手が、夢を持ち続ける20代に向けたリアルアンサーを発信する企画をスタート。
安彦選手のSNSフォロワーから質問を募り、その真剣な質問に熱く真摯に答える企画の第2弾。
安彦考真の「人生の先輩から20代に向けてのリアルアンサー」
vol.2
Q.安彦考真選手は挫折した時、どうやって立ち直ってきましたか?
20代社会人
A.(安彦考真)
多くの人は「挫折すること」が嫌なのではなく、じつは「挫折してしまうのではないかという不安」が嫌なんです。
その不安と戦うことが怖いから、頭に浮かぶ失敗する前提の想像に負けてしまい、アクションを起こすこと自体が嫌になってしまう。
そんな思考状態では「イメージした失敗が現実になっている」と錯覚することも多いので、結局、何をやっても「失敗した」「挫折した」、「だから私はダメなんだ」と捉えてしまいがちになる。
僕から見た「挫折」とはそういうイメージです。
そこで質問の回答ですが、簡単に言うと、僕は「挫折して立ち直る」という捉え方ではなく、何度も挑戦を繰り返すことで自分の中に「挫折耐性」を形成するという感じです。
インフルエンザから逃げ続けるのは難しい。でも一度体内に耐性を持つことができれば、インフルエンザに怯えなくていいように。
僕から見て「挫折した」と思っている人の大半は、「自分がダメだった」と思っているだけのように感じます。
僕も21歳のときにJリーグクラブのテストを受けた際、まったくいいプレーができず不合格になった。あれは僕にとって大きな挫折でした。「自分はダメだ」と思い込み、その時いったんは「Jリーガーになる」という子どもの頃からの夢を断念してしまいました。
でも、あとで振り返った時、その出来事は「自分がJリーガーになるためには何が足りないのか、何が必要なのか」というものを教えてくれる大事な体験だったんだということがわかりました。
そして、その気づきから僕の40歳になってからの再チャレンジが始まりました。
考えてみてください。
研究者はいつも「実験する→失敗する」をずっと繰り返しているわけです。
でも、研究者は1回失敗するたびに「自分に能力がない」と自分を責め、落ち込んで研究者を辞めようとするのではなく、失敗の原因を自分の内面や能力以外の面、例えば実験のやり方だったり、調合の割合だったり、かける時間だったり、そものそもの仮説自体の中に原因があると考え、追求します。
僕らも同じです。
大事なのは「挫折」そのものには何の価値もないということを理解し、達成したい目的に対して「現時点で達成できない理由」を考え、その克服のための挑戦を何度でも繰り返し続ける。それが「挫折を克服する」一番の方法です。
僕の考えとしては、大事なことは「挫折を前提に考えず、達成を前提に考える」こと。
失敗も挫折も、すべては目標達成のために必要な要素である—そういうマインドづくりをしておくと、どんな局面においても多角的に物事を捉えることができると思います。
それでも「そんなことを言われても、急には変われない」という声もあると思うので、挫折したときの立ち直り方として一番簡単で一番効果的なのは「忘れる」ってことです。
食事を腹八分目にして、いつもより少し早く寝る。
ただし、もしどうしても寝れない場合は、深刻な状態の可能性もあるのですぐに専門家に相談してください。
深刻になる前に「耐性を作る」ことが大事。自分が人類の難題に挑戦する研究者になったつもりでトライをしていきましょう!!