ライバルが語る「スペインの至宝」イニエスタ加入の衝撃

2018.7.12

livest!編集部

世界が驚いたスーパースターのJリーグ加入。同じ立場の選手はこの驚きのニュースをどう捉えたのか?

スペイン代表としてワールドカップやユーロを制し、またFCバルセロナではクラブワールドカップなど数々の栄冠を手にしたサッカー界のスーパースター、アンドレス・イニエスタ選手が、Jリーグのヴィッセル神戸に加入した。

過去、数々のスーパースターがJリーグでプレーしたが、スペインの至宝であり、名門バルセロナで不可欠なレジェンド中のレジェンドの選手が、キャリアの真っ最中での加入という意味で、日本サッカー史上最大の衝撃と言っても過言ではないビッグニュースとなった。

今年から水戸ホーリーホックに加入した安彦考真選手は、同じJリーガーの立場として、イニエスタ選手のJリーグ加入をどう受け止め、どのように生かすべきと考えるか。同じ立場だからこそ語れるJリーガーの本音を聞いた。

 

安彦考真選手への質問

世界的スーパースターのイニエスタ選手がヴィッセル神戸に加入しました。
同じJリーガーとして、個人的な感想を教えてください。

また、日本サッカー界全体にどんな影響を与えてくれると期待しますか?

さらに、プレー面、興行面、育成面で、日本サッカー界はどのようにイニエスタ効果を活用すべきだと考えますか?

安彦選手個人の考えやアイデアを聞かせてください。

安彦考真選手の回答

「イニエスタ選手をメソッド化」で日本サッカー界の革命を期待!

 

率直な感想は「光栄」の一言ですね。

Jリーガーになるだけでも嬉しいことでしたが、その舞台に世界のスーパースターがいると思うととても興奮します。サッカーがくれた「機会」に感謝をしたいです。

 

イニエスタ選手の加入により、単純に生でサッカーが観たいと思う人が増えると思います。

DAZNによる効果は随所に表れていると思いますが、実はその反面、デメリットもあると感じていました。
携帯の普及により、遠かったものが近い存在へと変化しました。それは物だけでなくスポーツなどもその一つです。

Jリーグの試合をわざわざ観に行かなくても、携帯で見ることできるDAZNは弊害要素も含んでいました。
しかし、その弊害要素がイニエスタ選手の加入により、大きな相乗効果生むことになると思います。

携帯でも満足していた人たちが、イニエスタを見たいとなれば、必ずスタジアムに足を運ぶことになると思います。

 

その結果、サッカーへの関心が高まり、メディアでの取り上げも増えることで、一時的にサッカー熱が過熱し、それが競技人口を増やす一端を担うと考えられます。
子どもたちがサッカーを始めるキッカケを与えてくれる「人」になると思います。

 

ここからは、そのイニエスタの価値をどう運用できるかということがポイントになります。

 

先ずはプレー面でいうと、彼が何故こんなプレーをできるのかという「イニエスタカメラ」的なものを使って、ありとあらゆるプレーデータを取るべきです。
特にヴィッセル神戸の選手や対戦相手の選手たちにとって大きなポイントは、共にプレーしたことや対戦して感じたことを事細かに残すことを徹底するべきです。
イニエスタと同じくらいの体格の日本人にとって最高のお手本がそばにいるわけなのです。

 

興行面に関しては、確実にグッズなどの収益が上がることは間違いないでしょう。

それと同時に期待できるのが、イニエスタ選手のSNSでの影響力(拡散力)だと思います。

※参考
イニエスタは自身のSNSとして、インスタグラム(フォロワー数約2290万人)、ツイッター(フォロワー数約2319万人)、フェイスブック(フォロワー数約2656万人)

イニエスタのSNSのフォロワーは、世界中にのべ約7400万人もことになります。
しかもこれは日本とスペインだけでなく全世界に存在しているのでアジアに向けても「イニエスタツアー」を組むことができます。
日本人だけでなく「アジア」という括りに中でエンターテイメントを提供できれば興行面で大きな効果を出せることは間違いないと思います。

 

最後に育成面ですが、上記でも述べたように、日本人とほぼ体格差のないイニエスタ選手が世界のトッププレーヤーになれた理由を「能力」で片付けず、どんな環境でどんなトレーニングをして、どんな意識で取り組んできたのかなどを可視化することが重要です。
要するに、イニエスタ選手がどのように育成されたのかを本人がメソッド化し、日本の育成に還元して行く素晴らしい機会となるでしょう。
バルセロナのカンテラと同様のシステムやメソッドを日本に作ることも可能になります。

 

僕は、日本人がサッカーという競技に向いてないのではなく、日本という国の環境がサッカー選手を育てるのに向いてないと思っています。
そこにメスを入れることができるのは「イニエスタ」というブランドです。その環境自体を変えることで、日本からも世界で戦える選手が必ず輩出されると思います。

 

イニエスタ選手を観る、イニエスタ選手を分析する、イニエスタ選手をメソッド化する、

一人のスーパースターで終わらせることなく、日本サッカー界のとって最大限に効果を発揮できるようにしてもらいたいと思います。

 

最後に、イニエスタ選手が練習以外で取り組んでいることや考えていることなどを、クラブにはうまく外に伝えて欲しいと思います。

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