知られざる「世界最先端の食事改善」その成果とは?

2020.6.10

安彦考真

「食」で肉体は蘇る!40歳Jリーガーの体質改善物語(第13回)

「食」で肉体は蘇る!40歳Jリーガーの体質改善ストーリー

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第13回

「世界最先端の食事改善」その成果とは?

安彦考真

 

 

2週間におよぶファスティングで、体内の老廃物や不要なものを体外に排出した。

そしてその後、食事の内容を刷新し、本当に必要なものだけを食事から摂取するようにした。

ファスティング当初は5キロほど体重が落ちたが、その後はトレーニングが始まったこともあり、現在はファスティング前と比べて体重減は2キロほど。

数値だけで見れば、それほど大きな変化はないと言ってもいい状態だが、それ以外の変化が非常に大きかった。

 

まず、長年の悩みだった便秘はなくなり、身体がとにかく軽くなった。また肌の艶がよくなり、身体の汚れや匂いが出づらくなった。

最近髪を切ったが、美容師に「髪質がすごくよくなっていますよ! 何か特別なケアをし始めたんですか?」と驚かれた(笑)。

 

そして、アスリートとしてなにより嬉しいのは身体中の古傷の痛みがまったくなくなったこと。

体重は少し減ったとはいえ、接触プレーでも負けなくなったし、打撲などのケガも1日で治るようになった。

はっきり言っていいことだらけ。なんでもっと若いうちから取り入れなかったんだ……と思わず悔やみたくなるほど、アスリートとしても、いつまでも若々しくいたい40代のおじさんとしても(笑)、良い面だらけの食事改善となった。

僕たちの体は約60兆個の細胞で構成されている。

その中で毎日1兆個ほどの細胞が入れ替わっていき、最終的に2ヶ月ほどで60兆個すべての細胞が新しい細胞になると言う。

ファスティングとヴィーガン(動物性の食材を摂らない菜食主義)生活を続けた期間で、僕の細胞はすべて入れ替わっていた。

しかし、ただ新しい細胞に入れ替わっただけではなかった。

入れ替わった後の新しい細胞たちは、毒素や不要なものが含まれていない、細胞にとって必要な要素だけで作られた人間本来の細胞たちだ。

そんな真新しく純度の高い細胞だけで構成されたニューバージョンの安彦考真の身体は、人間本来の健康や強さを取り戻していた。

僕は生まれ変わった。

ただ細胞が入れ替わっただけでなく、生まれた直後以来の、僕の人生で史上最強の肉体に生まれ変わったのだ。

(写真はファスティング期間中に食べていた玄米。その後、僕の主食となった)

 

ファスティング完了後、僕はカフェインやアルコールなどの刺激物、また動物性タンパク質を一切摂らない食事を続けた。

いわゆる「ヴィーガン」(菜食主義)と呼ばれる状態で3ヶ月を過ごした。

 

動物性のタンパク質をやめると同時に他にもいくつかやめたものがある。

乳製品と小麦。

それから保存料、添加物、合成着色料、化学調味料など。

そしてサプリメント。

現代社会で摂取する飲食物に欠かせないこれらの原料や加工物を一切摂らないようにした。

それは、必然的にコンビニで飲食物を買うことが劇的に減り、ファーストフードやファミレスなどで食事することがなくなったことを意味する。

 

以前はコンビニは毎日数回行って何かしら飲食物を買って飲み食いしていたし、ファーストフードもファミレスも大好きだった。

しかし、ファスティング開始以降、僕はこれら今の時代に必須の場所から疎遠になった。

お金を無駄遣いしなくて済むだけでなく、余計なものを摂取することもなくなり、一石二鳥どころかたくさんの副次的効果を生み出した。

 

もちろんコンビニやファミレスで提供される飲食物が悪いという意味ではない。

しかし、便利な世の中に適合するため、また不特定多数の好みに合わせるため、それらの店舗ではどうしても添加物や化学調味料を使わざるを得ない。

毎日の食事のほとんどがそれらの店舗だと言う人以外は、大きな悪影響はないだろう(たぶん)。

しかし、まったくのゼロにした生活を続けると、それらの店舗が提供する飲食物の味が濃いと感じたり、苦いと感じたりするようになる。

その味覚の感覚は、人間が本来必要な分量よりも相当多くの調味料や添加物が加えられているということなんじゃないかと僕は勝手に推測する。

こんなふうに良い点をつらつら書き綴っても、「どうせ安彦だけだろ」というひねくれた声が上がるかもしれない。

そんな声の主は、あまりに世界を知らなさ過ぎると言える。

僕はそんな声の主に言い返したい。古い固定観念にとらわれず、もっと視野を広げて勉強しろよ!と。

 

ということで、ここで、僕と同じようにヴィーガン(菜食主義)の食生活を取り入れているプロサッカークラブを紹介してみる。

と言っても、超例外的なマニアックな変態チームを挙げるわけではない。

チャンピオンズリーグでも上位進出常連の名門クラブである、ドイツ・ブンデスリーガの「ドルトムント」だ。

 

このクラブには、僕も勉強のために過去に訪問し、トップチームだけでなく、アカデミーやジュニアクラスの練習環境や選手たちが通う学校なども見学したことがあるのでよく知っている。

このクラブは他の名門クラブにありがちな他クラブの主力をお金の力で引き抜いて選抜チームのような選手構成をするやり方とは一線を画し、ジュニアクラスから自前で選手を育て、トップチームの主力へと育て上げる方針をとるサッカークラブの理想のようなクラブだ。

だからこそ、ドルトムントは選手の育成に時間もお金の労力も注ぎ込んでいる。

練習メニューは革新的で、体が小さい時期でも、その年齢に合わせた練習メニューを提供し、飽きさせないような工夫を取り入れて取り組ませることで、選手たちの自然な成長を促す施策をとる。

長く育てて、大きく羽ばたかせる。その結果、クラブを代表するようなスーパースターたちを多数生み出すことにドルトムントは成功し続けている。

 

そんなドルトムントは、当然「食事改革」についても革新的だ。

ドルトムントでは、パフォーマンスを上げることを目的に、常にフィジカル・メンタル・テクノロジーの追求を徹底している。

そして、クラブは最終的に食事の重要さにたどり着いたという。

「体の切れを増し、ケガの予防にもつながる」ということで、トップ選手へクラブから提供する飲食について、乳製品等を取り入れない「食事改善」を取り入れることにした。

また、キッズ世代のケガの多くも、食事の改善で減らせると考え、ジュニアアカデミーの食堂で提供する飲食の内容を一新するだけでなく、保護者に対してもクラブ側から栄養学を学ぶことを求めるようになったそうだ。

フンメルスやゲッツェ、ヴィツェル、ヴァイグル、マルコ・ロイス、そして香川真司ら、そうそうたる選手たちがドルトムントの育成から世界に羽ばたいている。

バルセロナにも勝るとも劣らないスーパーな選手の育成力の一端に、食事改善の成果もあるかもしれない。

「世界初のビーガン・サッカークラブとなったフォレスト・グリーン・ローバズとは?会長Dale Vince氏がサッカー業界を通して世界に伝えたいこと。」(WEBサイト『IN YOU JOURNAL』より)

https://macrobiotic-daisuki.jp/vegan-soccer-66752.html

 

 

そして、ドルトムント以上に徹底した「食事改善」を導入しているクラブが存在する。

それは、イングランド・フットボールリーグに所属する「フォレストグリーン・ローバズ」だ。

同クラブで選手に対して提供される食事はすべて『ヴィーガン(菜食主義)』。さらに驚きなのは、同クラブのホームスタジアムで販売されている飲食物もすべてが同じくヴィーガン食に限定しているそうだ。

まさに「世界でもっとも革新派のヴィーガンサッカークラブ」と言えるだろう。

 

フォレストグリーン・ローバズが、クラブでヴィーガン食を提供するようになったのは、2010年、グリーンエネルギーの会社『エコトリシティ』がクラブのオーナーに就任したことから始まったという。

当初はこの食事改善の導入を否定的に考える選手もいたようだが、クラブは例外なく改革を断行。

(第一段階)レッドミート(牛や豚、マトンなどの赤身の肉)をやめる

(第二段階)ホワイトミート(鶏肉)をやめる

(第三段階)魚をやめる

というふうに、選手たちが変化に戸惑わないよう最前の工夫を取り入れ、段階的にヴィーガン食に移行していったという。

クラブ側の配慮に、選手たちも徐々に受け入れるようになり、最終的にクラブが提供する飲食物をヴィーガン食に完全移行することに成功した。

そして、この成功をきっかけに、食事改革は選手だけでなく、試合の日に販売するホームスタジアムのマッチミールもすべてヴィーガン食を提供するようになった。

サポーターたちもクラブの考えを受け入れ、ホームゲームの試合観戦時はサポーターみんなでヴィーガンとなったという。

 

この取り組みが認められ、フォレストグリーン・ローヴァーズ・フットボール・クラブは、2017年、世界初のヴィーガン認定クラブとなった。

「〝ヘルシー、テイスティ、フレッシュ〟が売りという同クラブのマッチミール(スタジアムで販売する飲食物)はすべて『The Vegan Trademark』という世界基準を満たすヴィーガン料理の認証を獲得。肉や乳製品を除くだけでなく、イギリスで指定される14品目のアレルギー物質も除去しているという徹底ぶりだ。マッチミールのラインナップは、ベジバーガー、ビーガンピザ、サラダ、スイートポテトフライ、ファヒータ(豆のトルティーヤ)などなど。なんとコーラもオリジナル。『グリーンコーラ』というコーヒー豆から作ったカフェインレスのコーラが滞京される」

僕が読んだ記事にはそう記載されていた。

「The Vegan Trademark」が記載されている「フォレストグリーン・ローバズ」公式サイト

https://www.fgr.co.uk

 

このように、現在、世界でも多くのクラブが「食」に関する知識を深め、パフォーマンスアップに必要だと思うことを研究している。

特に勝敗がクラブの収益に大きな影響を与えるヨーロッパのサッカークラブは、チームの勝利のため、所属選手のパフォーマンス向上のため、日々最新の情報や技術をクラブ経営に積極的に取り入れている。

デジタルテクノロジーを駆使した試合分析や練習メニューの作成はもちろん、所属選手の体調管理のために新しい技術や知識をどんどん取り入れる姿勢は、日本のサッカー界も見習うべき点だと感じる。

(つづく)

 

おまけの第2弾。現在、菜食主義に近い食生活に変えていると言われている選手を紹介します。

エクトル・ベジェリン

所属クラブ:アーセナル

サッカー界のおしゃれ番長も菜食主義者として知られている。ベジェリンは「最初に試したとき、どんな味で、どんな感じで、僕にどんな助けとなるのだろうと考えた。僕が思っていた以上だし、現在の僕のベースにはこの食生活がある」と語っている。(安彦)

 

セルヒオ・アグエロ

所属クラブ:マンチェスター・シティ

絶対王者の点取り屋で、プレミアリーグ屈指のストライカーも菜食主義者だ。そんなプレーは肉食のアグエロが、昨シーズンに菜食主義生活に切り替えたことは多くの人を驚かせただろう。(安彦)

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