過去のことは学べても「未来のこと」は学校では学べない

2018.7.25

livest!編集部

好きなことを仕事にするために「学校で学べること」「学べないこと」

リアルアンサー

2018年7月25日の質問

例えば「スポーツトレーナーになりたい」という夢を持った人にとって、次のアクションは「専門の学校に行く」という選択があると思います。

「就きたい仕事」のために学ぶ場所として専門知識を学べる学校は重要です。一方で、その仕事で実際にお金を稼ぐためには、学校で学ぶことだけでは不十分であることも事実です。

普通科の中学高校のようなイメージで「学ぶ場は学校だけ」状態で学校に依存していると、いつまでも実社会に適応できるスキルや感がを持てないだけでなく、「好きなことを仕事にする」という夢を実現することができなくなる可能性があります。

小学生から高校生年代まで指導経験があり、「スポーツ就業」に関する専門課程での年間を通じての指導経験もある安彦考真選手に、「学校で学べること」「学校では学べないこと」という2つについて、今後同じ道を進もうと思う中高生やジャンルは別でも専門的な学校に進もうと思っている人に向けて、先輩として実体験をもとにしたアドバイスをください。

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関谷博司(スポーツトレーナー)http://www.livest.net/real/2221.html

三浦遥香(スポーツトレーナー/学生)http://www.livest.net/real/2231.html

リアルアンサー

安彦考真選手(水戸ホーリーホック)

過去のことは学べても「未来のこと」は学校では学べない

僕は、Jリーガーになる前に小学生から高校生まで、さまざまな形で指導していました。

特に高校生に関しては、学校組織の中で講義も行なっていたので、今回の質問に関しては、自分がやり切れなかったことも踏まえて答えたいと思います。

 

「学校で学べること」

先ずは、「学校で学べること」ですが、一般的に言うと、「知識」「教養」となると思いますが、もう少し深掘りすると、次の3つだと思います。

「時間厳守」「命令遵守」「ルーティン作業を厭わない」

学校で学べることは知識や教養と言った聞こえのいいものではなく、時間を守り、命令を守り、同じことを繰り返すことを当たり前だと思わせることです。

ですので、公務員や一般的なサラリーマンになるために必要な要素はしっかり学べます。正確には、「学ぶ」というより「刷り込まれる」と言った方が正しいでしょう。

今までの時代には必要な要素であり、教育という本質は人材育成なので、日本という国が成長するためには必要不可欠な「場」であったと言えます。

ただ、ここでの問題は、一般社会では「会社に対して受動的に従うことで生まれる対価」=「給料」という図式なので、自らが能動的に動いてお金を稼ぐことには繋がっていきません。

そこで僕がトライしたのは、ルールをなくすということでした。

 

当時、高校生を相手に、唯一定めたルールは「10:00から授業があるよ」というアナウンスだけです。何時に来てもいいし、どんな格好でも髪型でも構わない。10:00から僕の授業があることだけを伝えました。

しかも、その授業時間は1コマ30分です。通常の50分授業では、集中力がもたないことは僕自身も経験済みなので(笑)、30分という時間でどれだけ効果があるのか検証してみました。

 

最初のうちは10:00にすら生徒が集まりませんでした。

服装は適当、髪型はガッチガチに決めてくるか寝癖ボンバーでくるか、髪の色は教室に虹でも出たんか?って思うような色……。そんな状況を見て「この方法は失敗かな……」と最初は思いましたが、数ヶ月後には徐々に変化が見られました。

10時5分前には着席している生徒が増え、寝癖がなくなり、髪の色も黒髪が増えました。僕が仕掛けた「エネルギーの放出」は成功したかに見えました。

 

しかし、結局これも無言のルールを作り、サラリーマン公務員を育てるための方法に過ぎなかったと気がつきました。

「学校」という世の中の固定概念が、時間厳守、命令遵守、ルーティン作業……というものから切り離されていないことを身をもって体験しました。

 

「学校では学べないこと」

それは「今までの時代のこと」は学べても「これからの時代のこと」は、現在の学校では決して学べないのだということです。

世の中がどう変わっていて、社会がどうなって、どんなん人材が求められているのかという「未来」の自分を学ぶことはできないということです。

そして、もう一つは「お金」ついてです。

子どもにお金の話をするのはゲスいというイメージが、お金に対して盲目化させてしまっています。

 

これからの時代は、「夢を持て」ではなく「好きなことを突き詰めろ」の時代です。

でも学校ではその突き詰め方は教えてくれない。そして、その好きなことでどうしたらお金が稼げるのかも教えてもらえない。

子どもたちが出来るだけ早く「お金」の本質に触れ、少しでも早く「お金をもらう」ではなく「お金を稼ぐ」という認識を持てることが、21世紀の社会人には必要不可欠です。

学校で知識は学べても、行動は学べない。

この現状を打破しない限り、結局「自分の貴重な時間を提供する」か「ストレスに耐える」かしてお金を得るしかないということになってしまいます。

好きなことを仕事にするためにお金の稼ぎ方とお金の本質を教え、具体的な「行動」を教える教育こそ、21世紀の人材育成になると思います!

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