「負け」から何を学ぶか

2019.5.8

安彦考真

安彦考真のリアルアンサー「J3リーグ第8節を終えて」2019年5月8日

J3第8節「いわてグルージャ盛岡 vs. Y.S.C.C.横浜」の一戦は2-1でホームの岩手が勝利した。
前半21分に先制したYS横浜だったが、後半に2失点して逆転負け。連勝が止まったYS横浜は、勝てば上位進出が狙えたチャンスを逃した。

同点の試合終盤に勝利を託されて途中出場した安彦考真選手だったが、交代直後に失点し、敗戦を告げるホイッスルをピッチ上で聞いた。

お互いのチームの特徴や戦術を研究し、対策をとって試合に臨む。その精度は試合を重ねるにつれて増していく。
YS横浜の〝つなぐ〟スタイルを無効にするため、対戦相手はさまざまな手を打ってくる。
そんな中、チームのバランスが崩れた劣勢の試合の終盤こそ安彦考真選手の出番となる。

短時間の出場時間でできることは限られる。チームのバランスを整えようとすれば、それだけで時間も労力も失っていく。
勝てた試合、勝てば上位進出できた試合で失った勝ち点。期待されて交代出場した中で結果を出せなかった責任感。そんなすべての経験がオールドルーキーにとっては苦い初体験であり、乗り越えなければならないハードルとなっている。

連勝し、調子を上げていた中での敗戦の数日後、自身の率直な気持ちを安彦考真選手にリアルアンサーしてもらった。

リアルアンサー
2019年5月8日

Y.S.C.C.横浜

安彦考真

「負けから何を学ぶのか」

盛岡戦は1-2の逆転負け。

前半に先制したことで勝利を手にできるチャンスを握った試合だった。
しかし後半は相手のロングボールを放り込むサッカーに主導権を握られてしまい、自分たちの〝つなぐ〟スタイルのサッカーからどんどん離れてしまった。
僕らは見失ってしまったスタイルをその試合の中で取り戻せるほどまだ成熟していなかった。

後半、同点にされた時点で多くの選手が足が止まったとベンチから見て感じていた。
そんな苦しい状況の中、後半残り10分で僕は投入された。

役割は明確だ。
ゴールを奪い勝ち点3を取ること。それがチームに対して最大で最高の貢献になる。

しかし現実は甘くない。不運な失点により、逆に盛岡にリードを許してしまう展開に。
勢いを落としたくない僕は、とにかくペナルティエリアへの侵入のためのフリーランを繰り返した。しかし何もできないまま時間は刻一刻と過ぎてゆき、レフェリーの試合終了の笛を迎えた。

試合後のロッカールー厶は静まり返っていた。自分も自身の不甲斐なさに落胆していた。
その時のモヤモヤした気持ちが数日経った今もまだ抜けない。
そんな精神状態の中でもはっきり自覚しているのは、こんな試合でこそ僕自身がもっと覇気を出してチームを鼓舞をし、ボールを集められる存在にならないといけないってことだ。

どこかでまだまだ〝リミッター〟を外せていない自分がいる。
遠慮か? 気遣いか? 失敗への恐怖か?
自分のことなのに自分のことがわからない……。

2年目のシーズンだが、試合に出られなかった去年には体験できなかったことばかりで、日々わからないことが増えていく。
22人と1つのボールが複雑に絡む試合の中で自分のイメージ通りにできることはまずない。そんな中、短い出場時間の中で自分が「すべきこと」と実際に「できること」のギャップをどう埋めればいいのか?

今、現時点で考えている最適解は「変にバランスを取ることを考えず、リミッターを外して自由にプレーする」こと。
結果を出すために必要なことは、わかっていても実践することは想像以上に難しい。
でも、やるしかない。
いや、きっとできる。
なぜなら今、自分は「好きなことをして生きている」のだから。
きっと少しくらい高いハードルの方が、飛べた時にきっと気持ちがいいはずだから。