毎日の動画配信で得た意外な収穫

2020.5.14

安彦考真

安彦考真「インスタライブ配信成功の秘訣とは?」(第1回)

毎日の動画配信で得た意外な収穫

2020年5月14日

安彦考真

 

僕は今インスタライブを毎日やっている。

 

元々はY.S.C.C.横浜のPR活動の一環として、所属選手とインスタライブをすることを僕が企画し、チームに提案したことが発端だった。

僕がホスト役となり、毎回チームメイト1人にインタビュー形式の対談を配信し、選手たちの素顔や個性を紹介することを試みた。

 

結果は視聴してくれたサポーターにもチームにも、そして出演した選手たちにも大好評の企画となった。

しかし、毎回の現場の仕切りは、生配信ということもあって結構大変だった。

 

他の多くのJリーグのクラブや選手たちがインスタライブを始める中、毎日続けているのはおそらくY.S.C.C.横浜だけだと思う。

毎日続けるだけでも大変だが、さらに毎回中身が濃い配信をしようと思ったら大変さはさらに増す。

 

動画配信は、ただ思いつきを喋っていればいいわけではない。

毎日1時間近くライブ配信するスマホの画面の向こう側には、毎日貴重な時間を割いて視聴してくれる多くの人たちがいるということを理解しておかなくてはいけない。

発起人でもあり、現場の仕切りもしている僕は、視聴してくれている人たちにこの時間の中で何を伝えるかを常に意識する必要がある。

 

そして、大前提として「何のために始めたのか」ということを忘れてはいけない。

ただの仲間内の雑談を公共の面前に晒すのならやる意味はない。この1時間の配信時間が参加する者、そして観る人にとって有意義なものにならなければ続ける意味はないからだ。

※西山峻太選手とのインスタライブの様子

 

 

そもそも、僕がこの企画を始めた理由の1つは、昨シーズンまで、Y.S.C.C.横浜の観客数平均がJリーグの中でも最下位クラスである中、この1試合平均1500人弱だった観客数がこのコロナウイルスの影響によってより減ってしまうのではないかという危機感が僕の中にあったからだ。

チーム練習が禁止されている中、多くのチームや選手が積極的にSNS配信している中で、Y.S.C.C.横浜の配信を見てもらうために、そして「見てよかった」と思ってもらうためには、やはり始めた理由を外れた内容になってはいけないと考えている。

 

ただ内輪だけで面白おかしいネタを喋るだけでいいなら、それはサポーターがたくさんいるレッズや芸能人がやるべきだ。

僕らが意識すべきは、限られた人数のサポーターの中、今まで知る機会がなかった僕らの魅力に気づいてもらうには、選手が普段何を考えているのか、日々どんなことに葛藤しているかなどを、特に意識して発信し続ける必要があると考えながら配信を続けている。

 

僕がライブ配信をする際に司会進行役として意識していることは、毎日出演してくれた選手の個性や好みを把握し、彼らの活動履歴を僕の中でしっかり把握して、それらの話題をできるだけ引き出せるようにすることだった。

もちろん、堅苦しいだけの配信では観ている人も出演している側も肩が凝るので、その場のノリや即興で笑いを取ることももちろん意識している。

そんなふうにしてフレンドリーな雰囲気作りを意識しつつ、視聴者が「なるほど」「面白い」「ためになった」と感じてもらえるような内容をできるだけ多く盛り込むことが大事だと考えている。

 

また、僕が先に「答え」を言ってしまうと、相手は「そうですね」「はい」「そうなんですよ」といった一言で終えてしまう。

だから、僕は話したい話題をそのまま話すのでなく、彼らのエピソードを紹介し、そのことを本人に解説させるように誘導することを意識している。

そうすると、彼らは実際の体験談をもとにリアルな感情や思いを、自らの言葉で語り出してくれるからだ

※古山蓮選手とのインスタライブの様子

 

 

そんなふうに試行錯誤しながら続けてきたライブ配信だが、ついに所属選手全員の出演が完了した。

今回、所属選手全員を個別に取り上げるライブ配信を終えてみて気づいたことは、自分の考えや思いを「自分の言葉で喋れる」選手とできない選手にはっきり分かれるということだ。

 

では僕の指す「自分の言葉で喋れる」選手とそうでない選手の違いとは?

そして、その差を埋めるための意識すべきこととは?

僕が今まで無意識になってきていたことが、今回のライブ配信シリーズを駆け抜けたことで明確になったのは、僕にとって予想外の「最大の収穫」だった。

 

(つづく)

 

第2回→ http://www.livest.net/real/5055.html