この結果に満足すべきなのはどちらのチームか?

2019.9.11

安彦考真

安彦考真選手のワールドカップ予選「日本代表の試合観戦記」vol.1

2022年FIFAワールドカップ・カタール大会のアジア2次予選が9月10日、ミャンマーで行われ、日本代表はミャンマー代表に2-0で勝利。3年後のワールドカップ本大会出場に向けて、日本代表の予選初戦は白星発進となった。

雨の中、ピッチコンディションも良くない中、前半で2点を決めた日本代表だったが、その後は追加点を奪えないまま試合終了。アウェイの地ながらもっとも盛り上がったのは、残り10分から久保建英選手が出場した場面と言えるほど、攻められるシーンはほとんどなかった日本代表。

リーグ中断期間明け直後の練習中にケガをしてしまい、次戦以降の出場をめざして復帰を急ぐ安彦考真選手だが、Jリーガーの視点からこの試合をどう観たのか?

長いアジア予選をプロアスリートの視点で定点観測するシリーズの第1弾として、日本代表対ミャンマー代表との試合の観戦記をリアルアンサーしてもらった。

2019年9月11日

リアルアンサー

Y.S.C.C.横浜

安彦考真

「この結果に満足すべきなのはどちらのチームか?」

サッカーは結果だけでは語り尽くせないスポーツだ。

ミャンマーを相手に2-0。この数字をどう取るかはもちろんそれぞれ違うと思うが、パラグアイ相手に2-0ならば……と思う人も少なくないだろう。

試合を通してミャンマーサイドでの日本の攻撃の時間帯が多く、ほぼハーフコートでの試合状態で、パラグアイ代表との試合とは違う状況。しかし、結果は2-0。勝利がすべてのワールドカップ予選という観点で言えば100点満点の結果だろう。

ただ、ワクワクしたりワールドカップへの期待などというもの何も感じられなかった。

前半スタートこそ日本代表は選手間の良い連携が見られたが、後半は各々がその場のアイデアで動くばかりで、連動や連携といったような戦術的側面は一切見られなかったように思えた。

そりゃ日本代表なんだから、ランキング下位のミャンマー相手ならその場しのぎのアイデアだけでもなんとかなるだろう。しかし、(大変失礼だが)ミャンマー相手に連動や連携の動きができなければ、今後どの相手にそれをみせるのか?

今の日本代表が個々の能力だけで戦うのでは、今後勝てなくなってくるのがワールドカップ予選の奥深さ。ヨーロッパ組が増えて、なかなか長い時間一緒に練習できなくなっている日本代表だからこそ、比較的楽に戦える相手との試合に実戦の中で何度でも何度でも繰り返し戦術を刷り込む必要があるのではないだろうか。この試合でそういった意識がなければ、今後、強豪国相手にあうんの密な連携プレーを繰り出すことはどんどん難しくなっていくだろう。

そして、ワールドカップ予選で対戦国から久保選手の登場に大声援が送られるというカオス。

なんじゃそりゃ。きっと明日の紙面は久保選手の最年少デビューで終わるだろう。

日本サッカーはいつになったら"日本のサッカー"になるのだろうか。この結果に満足しているのは日本代表よりミャンマー代表のような気がしてならない。

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