すべてのアスリートの記録更新の価値は変わらない

2019.9.19

livest!編集部

パラリンピック選手の挑戦についてJリーガー西山峻太選手が考えていること

 

先日、Y.S.C.C.横浜の安彦考真選手が「アスリートとテクノロジーの進化」について、特に「パラリンピックがオリンピック記録を超える可能性」をテーマにリアルアンサーをしてくれました。

勝敗や記録更新より自分の人生にとって大切なこと

http://www.livest.net/real/4337.html

安彦選手の率直なアンサーに対して、多くの方から賛同の声はもちろん、それぞれの自己体験をもとにした意見が安彦選手のもとに届くことになりました。

東京オリンピック&パラリンピックの開催が日に日に迫る中、「アスリートとテクノロジーの進化の関係性」「パラリンピックの意義」など、真剣に考えているアスリートが多くいることが今回わかりました。

そこで今回、このテーマについて、新たに安彦選手のチームメイトであるY.S.C.C.横浜の西山峻太選手がリアルアンサーしてくれました。

自分たちが真剣に取り組んでいるスポーツに対して、西山選手が日々熱く真摯に向き合っていることが伝わるリアルアンサー。ぜひ耳を傾けてください。

2019年9月19日

リアルアンサー

Y.S.C.C.横浜

西山峻太

すべてのアスリートの記録更新の価値は変わらない

パラリンピックの選手たちが記録を更新し続けることについての懸念が議論される理由として、僕はいわゆる健常者と呼ばれる方々が彼らをどこか心の中で見下してるところがあるからだと考えます。「パラアスリートが健常者を超えることなんてできるわけない」という勝手な決め付けがあるからだと思います。

恥ずかしながら自分自身、これまでパラリンピックにはどういった種目が採用されてるのか明確には把握していませんでした。だから今回を機会にしっかりと調べました。

陸上競技や水泳競技などはタイムを競うものなので、数字というわかりやすい結果が出る。そのため、そういった議論の対象になりやすいのかも知れません。

その一方で、卓球や車いすテニスで世界一に輝いた選手があまりそういう議論の対象になっているようには感じません。これらの競技はタイムではなく点数を競うスポーツなので、一概に比較しづらい側面があります。だから、そういった目で見られることが少ないという違いがあるのではないのでしょうか。

例えば、僕たちサッカー選手なら、蹴りやすいボールが毎年のように開発され、試合球として採用されています。同様に、蹴りやすく動きやすいスパイクも次々と世に出ています。おそらく陸上競技でも走りやすいシューズというものが開発され、そのギアを使用した選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう手助けをしているはずです。

僕たちはそういった日々進歩するギアのおかげで、より自分が納得できるプレーができるようになります。だからこそ、なぜパラアスリートが最高のパフォーマンスを発揮する手助けをしてくれるギアを使うことについて、どうして議論の的になるのかが僕には理解しがたいことです。

健常者と呼ばれる人の中の一部の人が個人的に偏った考え方を持っていて、時間や距離を競う競技のパラアスリートによる記録更新に対してネガティヴな感情を持っている。その結果、こういった議論が出ているだけで、多くの人たちはパラアスリートを心から応援しているのではないかと僕は考えます。

Y.S.C.C.横浜

西山峻太

(にしやま しゅんた)

背番号25・DF

1989年7月25日・神奈川県出身

166cm/68kg

室蘭大谷高 - 国士舘大 - Y.S.C.C.横浜

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