長谷部誠選手に続く次代のリーダーに必要な条件とは?

2018.7.16

livest!編集部

リアルアンサー

2018年7月10日 安彦考真選手への質問

今、求められる理想のリーダー像とは?

サッカー日本代表で長くキャプテンを務めてきた長谷部誠選手が代表引退を表明しました。
2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、そして今回のロシア大会とワールドカップ3大会連続でキャプテンを務め、8年もの間、日本代表をキャプテンとして牽引した長谷部選手は、誰もが認めるキャプテンらしいキャプテンでした。

安彦考真選手は、これまでにチームのキャプテンを務めたことはありますか?
キャプテン経験があれば、それはいつ頃、どういった理由(安彦さんの想像含め)でキャプテンを務めたのでしょうか?
また、安彦考真選手にとってキャプテンとはどういう役割で、どういう人が努めるべきだと考えますか?
安彦考真選手の理想のリーダー像を踏まえて教えてください。

安彦考真選手の回答

チームメイトが関われる「余白」があることがリーダーの新しい条件

長谷部選手のキャプテンシーは、監督が誰に変わっても長谷部選手にキャプテンを任せていることそのものが物語っていますね。
歴代最高のキャプテンだったのではないでしょうか。

僕は小・中・高とキャプテンを務めました。
理由は明るいキャラだったからだと思います。あとは自分自身が目立ちたがり屋で、責任感が強いと思われていたからだと思います。
目立ちたがり屋はその通りですが、責任感が強いとは自分では思っていなかったですがね。。

僕が考えるキャプテン像は、昔とはだいぶ変わってきています。
今までは、キャプテンといえば、キャプテン翼の翼くんや松山くん、もしくは日向くんといった、誰もが認める「リーダー」でした。

翼くんは全てにおいてパーフェクトで、松山くんは頭脳派で、日向くんは姿勢で見せていく行動派だったように思います。
これが全国のサッカー少年の憧れであり、そのままそれがキャプテン像として根付いたように思います。

そういった従来のキャプテン像が、長谷部選手が日本代表のキャプテンではなくなるのを最後に変わってくると予想しています。
それは、あまりにも長谷部選手の時も垣間見えた課題--パーフェクトな人間でなければ背負えない重い責任とそのパーフェクトな選手個人に大きく依存するチームメイトという縮図による問題が出てきたように見えるからです。

僕が考える「これからのキャプテン像」は、前を走るリーダーではなく、みんなから支えられるようなリーダーが求められるようになってくると思っています。
キャプテン翼のリーダー像は20世紀型であり、今はリーダーが旗を振る役を担いつつも、それに対して実際に動くのはチームのすべての選手たちという縮図に変わってきているように感じるからです。

そもそもキャプテンの役割は「まとめ役」ではなく、「必要なときに必要なことを言える人」であるべきだと考えます。
何から何までキャプテンが担うことがいいリーダーとなっていますが、それでは今の若い選手たちは動きません。
きっと、その場でいい顔して、裏でエゲツない文句を言うこと120%です。

水戸ホーリーホックのキャプテンは、キャプテン翼世代のキャプテン像とはかけ離れています。
どちらかというと石崎くんタイプのリーダーで、素直で実直でどんな時でも絶対手を抜かない男です。どこかポンコツで、抜けている部分も多く、選手からはいじられまくりです。

しかし、いざ彼が本気で言葉を発すれば、全ての選手が顔色を変え耳を傾けます。
そして、みんなが口々に彼のためなら戦えると言います。
そんなキャプテン像こそ21世紀に必要な存在であり、ほかの選手が突っ込みを入れたり、気軽に意見を言えたりする「余白」の持ち主こそ、リーダーに相応しいと思います。
川崎フロンターレの小林悠選手も同様の存在だと感じています。

最後に、キャプテンは社長ではないので、決定権はありません。
だからこそ、全てをキャプテンに委ねてはいけないのです。
キャプテンがキャプテンであることを自覚すればするほど、「20世紀型のキャプテン翼」的キャプテン像へと走ってしまいます。

その人自身の人間性がキャプテン選びを行う上で、重要なポイントになってきていると感じます。
誰からも突っ込まれる人。でも誰にでも分け隔てなく接することができる人。そして、手を抜くという概念を持っていない人。
これこそ、これからのリーダー像であると考えられます。

日本サッカー界も長谷部選手の代表引退により、大きく変わる転換期に入ったと言えます。
次のキャプテンが誰になるかによって、日本代表チームの進化にも大きな影響を与えると思います。
それと同時に、部活動など育成年代にも同様の影響が出ることは間違いないでしょう。
日本サッカー界は、どんなリーダーがどこへ導いていくのか、これからがとても楽しみです。

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