1995年からのラブレター

2026.1.12

livest!編集部

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【鑑賞日記】

岩井俊二 The Music Works:30th Anniversary of "Love Letter"

あなたにとって、1995年はどんな年でしたか?

映画「love letter」が公開されたこの年、阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件という日本社会に衝撃を与えた大きな出来事があった年。
そして、Windows95が販売され、インターネットが生活に根付くターニングポイントとなった年でもありました。

第二次世界大戦終戦からちょうど50年。
日本社会党の村山富市さんが総理大臣となり、青島幸男さんと横山ノックさんが東京と大阪それぞれの知事に就任するなど、政治の世界も激変の一年でした。

1995年を改めて振り返ってみると、30年後の2025年と不思議な符合を感じる出来事があることに気づきます。

この年は「平成」7年。
7月7日には7が3つ並ぶスリーセブンとなりましたが、2025年も「令和」7年で、同じく7月7日に7が3つ並びました。

そして、この年、米などの食糧の価格や供給などを政府が管理する制度である「食糧管理法(通称:食管法)」が廃止され、新たな制度のもと、米の販売が原則自由化された年でもありました。

この時、誰も30年後に米不足が大きなニュースとなるとは思いもしなかったはずです。

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ちなみに「海の日」が制定されたのもこの年、1995年(施行は翌1996年から)。

偶然ですが、岩井俊二監督による映画「love letter」30周年記念ライヴが、30年の時を経て、7月20日「海の日」に東京・コットンクラブにて開催されました。

2日間4公演のチケットは完売。
どの公演も、岩井俊二監督&作品のファン、映画「love letter」のファン、そしてゲスト出演した小泉今日子さんと三浦透子さんのファンといった、さまざまな思いを抱いた人たちで席は埋まりました。

その中でもひときわ存在感が目立っていたのが、中山美穂さんのファンと思われる方々でした。

中山美穂さん関連のTシャツを着た方がたくさんいらっしゃり、オープニングで映画「love letter」の映画のワンシーンがスクリーンに映し出された瞬間、会場内のあちこちで啜り泣く音が聞こえてきました。

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映画監督として数多くの素晴らしい映像作品を生み出している岩井俊二監督は、それまでにも八ミリ映画を製作していたり、テレビドラマを製作していたりして、すでに注目の若手映像監督でしたが、本格的な映画監督デビューは1995年の「love letter」から。

この日のライヴでは、映画「love letter」で流れる音楽から始まり、岩井俊二監督が手がけた映像作品の印象深い音楽がヴァイオリンとチェロ、そしてピアノの音色で次々と演奏されました。

どの音楽の演奏でも、その時観た当時の記憶が蘇り、ライヴ中は自然と自身の30年を振り返る時間となりました。

岩井俊二監督の生み出す作品に魅了され、岩井俊二監督に影響を受け続けた30年。

その中で、たった一度だけ岩井俊二監督とニアミス(?)する瞬間があったことを、昨日のことのように思い出します。

ある人気小説を映画化するという企画が立ち上がり、自分もその企画会議の末席に座っていたことがありました。

その監督として岩井俊二さんにオファーを出そうという話が出て、内心驚きと興奮で会議室に自分の鼓動の音が響き渡っているのではないかと思った思い出。

結局、岩井俊二さんからOKが出ず、映画化の企画自体も流れてしまいましたが、あの企画に携わり、実現に向けて毎日のように会議に参加していた時期を思い出しながら、目の前のステージ上の岩井俊二さんの顔を見ると、一瞬にしてその当時の気持ちが蘇りました。

岩井俊二さんは、映像監督としてさまざまな新しい取り組みを行い、その後の日本の映画界のスタンダードを生み出してきた革新者でもあります。

見た目のソフトな印象、そして穏やかな語り口とは異なり、古いやり方を盲目的に続けるのではなく、時代の変化を受け入れ、常に新しいことに挑戦してきたパイオニアの岩井俊二さん。

映像クリエイターとしては「当たり前」を踏襲するのではなく、新しい技術や機材をどんどん採用し、使いこなし、その後の日本の映像クリエイターたちの可能性を広げ続けたパイオニアとしての一面も、もっと高く評価されるべきだと個人的には思っています。


1995年のWindows95という象徴的なツールの誕生から30年。
映像の世界はどんどんデジタル化され、新しい技術が導入され、映像そのものが劇的に進化してきた30年。
私たちの生活も技術革新の普及によって30年前とは一変しました。

7が3つ並んだ月の、30年前に制定された「海の日」に開催されたライヴ。

それは、ただ単に演奏を聴くことを楽しむ、不朽の名作映画の世界に浸る、ゲストの2人の歌声に聴き入る、それだけではない、1995年から2025年へ、30年という時間の流れと向き合う時間となりました。

あなたは1995年、なにをしていましたか?

そして、この30年、どう変わりましたか?

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岩井俊二 The Music Works:30th Anniversary of "Love Letter"

2025年7月20日(日)
@コットンクラブ

<MEMBER>
岩井俊二
牧野由依 (p)
林田順平 (vc)
荒井桃子 (vln)

<Guests>
小泉今日子 (vo)
三浦透子 (vo)

岩井俊二、映画監督デビュー30周年記念公演
映画の名シーンが蘇るプレミアム・ステージ

岩井俊二の映画監督デビュー30周年を記念した特別公演が、2日間限定で開催される。『Love Letter』『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』など、映像と音楽が織りなす独自の世界観で多くのファンを魅了してきた岩井俊二。本公演では、彼の作品を彩ってきた劇伴楽曲の数々を、豪華アーティストによる生演奏で届ける。映画監督デビュー作『Love Letter』を軸に、トークも交えながら作品の魅力を紐解く構成となっている。ゲストヴォーカルには、小泉今日子と三浦透子という実力派アーティストが出演。映画音楽の枠を超え、心に響くライヴ体験を創出する。なお本公演は、コットンクラブの開業20周年を記念する特別企画の一環として実施。節目の年にふさわしい、プレミアムな2日間となることだろう。

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