人生を楽しむための「健康」
30代、40代が運動を始める時に意識すべき体調管理の基本
4年に1度の開催となる競泳「パンパシフィック選手権」が8月12日まで4日間、東京辰巳国際水泳場で開催。日本の競泳陣は23個のメダルを獲得するなど男女ともに大活躍を見せた。
そんな日本競泳陣を長くサポートするのが小沢邦彦トレーナー。北島康介さんの金メダルなどを支えてきた〝日本競泳界活躍の陰の功労者〟だ。
そんな小沢さんが「運動後のボディケアの有無で、美容健康効果が真逆の可能性もある」と教えてくれた。〝水泳界のレジェンド〟を多数サポートしたスゴ腕トレーナーが教える健康のために運動を始めたアラサー&アラフォー世代は必読の体調管理の基本とは?
小沢邦彦
REFRESH指圧CENTER
オリンピックのメダリストなどトップアスリートを多数ケアしたゴッドハンド直伝のボディケア術
東京マラソンに3万6,000人近くもの市民ランナーが参加するなど、本格的に運動に取り組む人が増えている。東京オリンピックまであと2年。景色のいい海岸沿いの自転車のコースや都会のビルの中のボルダリング場など、スポーツを気軽にできる環境も徐々に整備されてきた。
しかし、運動を始めたばかりの人、特にアラフォー世代は運動後の体のケアに注意が必要だ。若い頃と違い、運動慣れしていない状態でいきなり運動した体をそのまま放っておくと、健康のためと始めたスポーツが悪影響となる可能性もある。
「運動で酷使した体を放っておくと、筋肉は硬くなってしまいます。トップアスリートが念入りに運動後のボディケアを行うように、一般の人の身体も運動後には正しいケアが必要です」
競泳日本代表選手をはじめ、多くのトップアスリートの活躍を支え続けるボディコンディショニングのゴッドハンド、小沢邦彦先生はそう語る。
日本オリンピック委員会強化医科学スタッフや日本トレーナー会議副代表として、オリンピックや、世界選手権などの国際大会に競泳代表のトレーナーとして帯同。北島選手らのメダル獲得に大きく貢献した小沢さん。リフレッシュ指圧センター小沢指圧治療院院長として、現在は東京・代官山にある高級スポーツ施設「FLUX CONDITIONINGS」内のREFRESH指圧CENTERでボディケアを担当。トップアスリートはもちろん、一般のスポーツ愛好者たちの体のメンテナンスを行う予約の取れないゴッドハンドとして活躍している。
多くのメダリストたちから絶大な信頼を得る小沢さんの施術の特徴は、小沢さんが考案したヒジを使った指圧。指でマッサージするだけでなく、硬いヒジの広い部分をうまく使うことで、トップアスリートたちが記録更新やケガ克服など数々のミラクルを起こすサポートを行ってきた。
「ヒジは使い方によっては凶器になる部位。だからこそきちんとした使い方をすれば指でマッサージするよりも強い力でケアすることができます。特に水泳の日本代表チームの合宿などに帯同した際は、何人もの選手を連続してケアしなければいけない。指だけでマッサージを続けると体力を消耗してしまい、最後のほうに施術する選手がしっかりとケアできなくなってしまう。そこで、ヒジを使ったマッサージを考案し、その問題を解決したのがきっかけです」
トップアスリートの肉体を知る小沢さんに、一般のスポーツ愛好者や、30代、40代になって健康のために運動を始めたばかりの人向けに、運動後、自分で簡単にできるボディケア法を教えてもらった。
「スポーツをする、しないに関わらず、パソコンやスマホの長時間使用によって首や頭が前に出てしまい、猫背やストレートネックなどの悪い姿勢になってしまっている人が増えています。悪い姿勢のままでいると、首や肩まわりの筋肉が張ったり、上腕二頭筋の長頭腱という箇所が痛んで、いわゆる四十肩や五十肩になりやすくなります。そうなると運動をすることも難しくなるので、30代、40代の人やこれから何か運動を始めようとしている人は、まずはスポーツを楽しめる体を取り戻すことからスタートすることが大事ですね」
「疲れを残さない簡単セルフボディケア」<肩のストレッチ〔1〕>
1)両手の指を組み、手の平を返す
2)ヒジと肩が同じ高さになるように、腕をめいっぱい前方に伸ばす
※呼吸を止めず、ゆっくり大きく息を吐きながら行うこと
3)腕をめいっぱい伸ばした状態のまま、腕を下ろしながら肩の筋肉をストレッチする
4)両方の肩甲骨が伸びることを意識する
「疲れを残さない簡単セルフボディケア」<肩のストレッチ〔2〕>
「このストレッチは、力士が『四股』を踏む体勢で行うことで、肩甲骨周辺の筋肉だけでなく、太ももの内側の筋肉『内転筋』も同時にストレッチできるものです。このストレッチは正しい姿勢をとることがポイントです。体はまっすぐに、頭が下に向かないようにしましょう」(小沢さん)
1)足を大きく開き、胸を張ったまま腰を真っすぐ下に下ろす
2)息をゆっくりと吐きながら、肘を曲げないようにしてヒザを押すイメージで右肩を前に突き出す
※できれば内転筋(股関節)の伸びるも同時に意識しながら行う
3)右肩を戻し、同じように左肩を前に突き出す
4)左右5回ずつ、ゆっくり呼吸しながら行う
「疲れを残さない簡単セルフボディケア」<胸のストレッチ>
「背中が丸まることで腕が鎖骨の前に出た状態になりがちですが、この状態のままだと胸骨から上腕骨につながる大胸筋が固まってしまい、腕の可動域が制限されてしまいます。大胸筋をストレッチしてこの状態をリセットしましょう。先ほどの背中側のストレッチと合わせて、胸側のストレッチを行うことでより効果が高まります」(小沢さん)
普段の生活で腕を後ろに伸ばす動作は意外と少なく、胸の筋肉が固まってしまっていることが多い。この大胸筋をストレッチすることで、姿勢を正しやすくなったり、大きく呼吸しやすくなったりするので、ぜひ試してみよう。
1)腕を斜め45度に上げて手の平を壁に着く
※胸骨と上腕骨の延長線上、斜め45度に腕を伸ばす
※指の向きを少し後方にするとよりストレッチが掛かる
2)息を吐きながらゆっくり、肩を入れて胸の前が伸びるのを感じるようにストレッチする
3)伸びきった所で大きく呼吸をしたら、息を吸いながら元の位置に戻す
4)腕を変えて、左右行う(3回ずつ)
※姿勢も意識して腰や背中が丸まらないようにする
小沢邦彦院長プロフィール
株式会社小沢塾代表取締役、リフレッシュ指圧センター小沢指圧治療院院長。(財)日本オリンピック委員会強化医科学スタッフ、(財)日本トレーナー会議副代表。自身も競泳選手経験が長く、五輪、世界選手権、アジア大会に競泳代表のトレーナーとして帯同。現在も競泳選手を主に様々な競技アスリートのボディメンテナンスを行う。