人生を楽しむ「健康を追求する」
背中と腰の柔軟性を取り戻すことで体調不良を予防する
スマホの長時間使用やパソコンでの長時間作業の影響か、最近、猫背の人が特に目につくように感じるのは気のせいではないだろう。
首が前に出て肩が丸まり、本来は体側にあるはずの腕が身体の斜め前から出ているかのような姿勢の人。電車を待つプラットフォームや信号待ちをしている時、周囲を見渡すとそんな姿勢の人が何人もいるはずだ。
この不自然な姿勢。元に戻すことなくそのままにしておくことで身体の不自然な歪みがどんどんひどくなり、その結果さまざまな健康不調を引き起こす要因となる。
「多くの人にとって体の歪みや姿勢の崩れは他人ごとではないはずですが、自覚している人は意外と少ないです。首や肩のコリや腰痛などで困っている人も多いですが、体の歪みや姿勢の崩れから本来の身体の動きを機能的にできないことで引き起こしている場合が非常に多いんです」
そう語るのは、「表参道ポルクス整骨院」で院長を務める東篤志さん。
「痛みやコリをとって終わり」の治療で終わらず、痛みやコリの出ない身体作りまで提案することをめざし、2014年に同院を開業。整体や鍼灸での治療はもちろん、トレーニング指導や姿勢矯正まで行う総合的な治療を行う整骨院の院長として多くの患者と向き合っている。
また、若い頃は野球で日本代表にも選出されるほどの実力の持ち主だったが、ケガの影響でプレーを断念したという自身の苦い経験から、東さんは同施設とは別に、トップアスリートをメンタルとフィジカルの両面からサポートするパーソナルトレーニング施設「ReNew」表参道の代表としても活動するなど多忙な日々を過ごしている。
東さんの人気の秘密は、「お客さんのバックボーンまで知った上で」その人に合った施術を行うという丁寧な対応にある。
「例えば『腰が痛い』というお客さんに対して、『腰が痛いことで何に困っているのか?』というところにまでフォーカスして施術を行います。患者さんが一番解消したい悩みは『腰が痛いためにやりたいことができないこと』なのではないか?と考えます」
“整骨のプロフェッショナル”として信頼を集める東さんに「骨格から健康を整える」ための、丸まった上半身を伸ばす<背骨ストレッチ>と腰痛予防に効果的な<腰椎骨盤腰椎ストレッチ>を伝授してもらった。
「背中が丸まった状態のままで固くなってしまうと横隔膜が圧迫され、呼吸が浅くなり、さまざまな体調不良を引き起こす要因にもなります。また、胸椎の柔軟性が低下すると腰痛になり易いです。3つのストレッチはどれも簡単で、どこでも気軽にできるものなので、ぜひ試してみてください」
「骨格から健康を整える」
背骨ストレッチ
<キャット&ドッグ>
1)四つんばいになる
※肩、ヒジ、手首が一直線になるように置く
※股関節、肩関節がそれぞれ直角になるようにする
ドッグのポーズ
2)息を吸う、肩甲骨を寄せる、顔を上げることを意識しながら背骨を反る。
3)ゆっくりと息を吐きながら背骨を丸めていく
※お腹を締める意識で息を吐き切る。
4)丸まった状態を3秒程度キープ
※おへそを見るようにアゴを引く
※背骨が天井に向かっていくように背中を高く丸める
キャットのポーズ
5)ゆっくりと息を吸いながら、もとの姿勢に戻る
6)この動作を5回繰り返す
「骨格から健康を整える」
骨盤腰椎ストレッチ
<キャット&ドッグ・バリエーション>
「先ほどのストレッチは胸部の背骨(胸椎)周辺が中心のストレッチでしたが、次は腰周辺の背骨(腰椎骨盤)のストレッチです。動きは先ほどの<キャット&ドッグ>に似ているので、同じような要領で今度は腰を意識しながら動いてください」(東さん)
1)腰幅より広めにヒザを開く
2)腕はハの字になるように置く
3)胸を起こす
4)息をゆっくりと吐きながら、腰を丸めていく
5)まるめ切ったらゆっくりと息を吸いながらもとの姿勢に戻る
6)ゆっくりと深呼吸しながら10回繰り返す
「骨格から健康を整える」
胸椎をひねりながら動かす
<胸椎回旋ストレッチ>
「先ほどの<キャット&ドッグ>では背中を丸めたり伸ばしたりといった動きのストレッチでしたが、今度はひねりを加えることで胸椎を回旋するストレッチです。要領を掴むまで難しいかもしれませんが、やっているうちに徐々に柔軟性が出て、スムーズにできるようになると思うので、『難しい』とすぐにやめずに継続してほしいストレッチです」(東さん)
1)お尻が動かないように正座の姿勢をとる
2)肩幅くらいの広さで両手を床につく
3)右手はそのままで、左手を後頭部に添える
4)目線は下のまま、息をゆっくりと吐きながら両方の肩甲骨を寄せるようなイメージで、左のヒジを上げ、胸を開いていく
5)ひねり切ったら息を吐きながらもとの位置に戻る
6)ゆっくりと呼吸しながら5回行う
7)腕を替えて同様に5回行う
※胸椎の柔軟性が低い場合、胸が開きづらいが、継続することで少しずつ柔軟性が戻り、胸を開けるようになる