人生を決めるのは運や才能でなく決意の差

2020.4.21

安彦考真

20代だったあの頃の自分に伝えたいこと vol.1

気がつけば人生の折り返し地点を過ぎていた。

たくさんのものを失ってきた。でもそれ以上に多くのものを得てきた。

これまでの人生を振り返ってみて、20代の頃には気づけなかった大切なことが見えてくる。

もし「20代だったあの頃の自分」に何かを伝えることができるのなら……。

自分の人生の中で感じた教訓の数々を20代に向けて書き記す。

 

 

20代だったあの頃の自分に伝えたいこと vol.1

人生を決めるのは運や才能でなく決意の差

 

一流のヴァイオリニストになるためには、幼児期から練習を始めておくことが重要だと聞く。

単純な反復練習の積み重ねでしか演奏の基礎は身につかないが、物心がついた子どもにとって自主的に反復練習を継続させるのは非常に難しいという理由が大きいらしい。

 

スポーツでも芸術でも「天才」と呼ばれる人たちのほとんどは同じかもしれない。

彼ら彼女たちは天賦の才のおかげなどではなく、一番重要だがもっとも苦痛な基礎の反復を徹底的に体に叩き込んでいたからというのが真理だろう。

 

凡人が遊んで過ごした子どもの時代を天才たちは誘惑に負けず黙々と基礎を磨いてきた。楽をしたまま20代になり、そこから慌ててそんな人たちと勝負で勝とうと思うのはあまりに世間知らずだ。

どんな世界でもトップを長く維持するためには、積み重ねた基礎の質量の差が絶対的なアンドバンテージとなる。そしてその差は年齢を重ねるほど大きく広がっていく。40代を過ぎれば、そこからその差を埋めることはほぼ不可能だ。

 

それがこれまでの人生で学んだ教訓だ。

そして40代を過ぎてから気付いても生かすことが難しい教訓でもある。

 

しかし、もしまだ20代で始めれば、40代になるまでになんとか帳尻を合わせられるかもしれない。 

もちろん間に合わないかもしれないし、そもそもその努力は役に立たないままかもしれない。

 

しかしトップに立ち続けている人の多くも、そもそも子ども時代に「これは将来必ず役に立つ」という確信を持って地道な練習に明け暮れたわけではない。

そういう意味では、誰もが同じ境遇にいるとも言える。ただ決意のスタート地点の年齢が違うだけで。

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