理性は独りで歩いてくる、偏見は群れで走ってくる

2020.5.17

安彦考真

安彦考真の日日「人間力アップ」のための名言集2020.04.28

 

「理性は独りで歩いてくる、偏見は群れで走ってくる」

(ジャン=ジャック・ルソー)

 

コロナウイルスに関する問題は自分ではどうしようもない。

だから、自分にできる限りの感染予防と外出自粛を行い、ニュースや公的機関の発表をチェックする。

 

それはまったくもって正しい考え方であり行動であり、少しでも早く感染拡大の収束を願う1人の国民として模範的な姿勢だ。

 

今は非常事態。まずは自分が感染しないこと。そして家族を始め、周囲の人に感染が広がらないように気をつけること。

その個々の清く正しい考え方と行動の積み重ねが、感染拡大を防止し、事態収束を早めることは間違いない。

 

けれど、この事態の完全な収束はきっとやって来ない。完全な収束があるとしても、かなり先の話だろう。

私たちはどこかで、自分なりに緊急事態の完全自粛から脱し、この状況に適応した新しい考え方や行動を見つけなければならない。

そして、見つけるならできるだけ早いうちがいい。実践するのもできるだけ早いうちがいい。

 

このウイルスについてはわからないことがたくさんある。しかしその一方で、わかってきたこともある。

 

感染する可能性が高い場所や行為。特に注意して行うべき行動。それらはさまざまな情報が錯綜する中で、徐々に絞られつつある。だから、それらの行為は徹底的に避ける。

そして、慎重さは保ちつつ、NGの行為とは遠い行動については極端に自重することを止める。他者と近い距離で話をするなどの行為を避け、換気に気をつけ、とにかく手を洗う。もし体調が良くないと感じた時は、無理せずすぐに休むなどして、常に体調を整えておく。

 

サラリーマンだったら、会社が休みになったり、リモートワークになっても給料は減らないかもしれない。

けれど、会社の事業活動が止まれば、会社の利益は減り、今後に大きな悪影響を残すことになる。

個人としても、自粛ムード一辺倒になることで、仕事や自己研鑽をセーブしてしまえば、長い目で見れば大きなマイナスとなる。

 

「そんなこと言っても、会社の方針が……」「政府が、自治体が……」

そんな反論もあるだろう。

けれど、政府や自治体が私たち個々を死ぬまで完全にサポートしてくれることはない。会社もリストラに走るかもしれないし、そもそも潰れてしまえば元も子もない。

 

コロナウイルスの感染拡大は、未知な状況の連続を私たちに浴びせ続ける。次々と恐怖が私たちに襲いかかっている。

まるでホラー映画のように。

そんな時、会社の方針や公的機関の指示を守ることに専念してしまうことで、私たちは自分で考えることをやめてしまわないように気をつけなければいけない。

自分で考えることをやめ、恐怖心に正常な判断を失ってしまえば……。

安全な方に逃げていると思っていたら、じつは自ら危険を招いてしまっているかもしれない。

まるで早い段階で痛い目に合うホラー映画のモブキャラのように……。

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