リアルアンサー
2018年8月17日の質問
なぜ足が攣るのか? 現役選手が語るその理由と正しい対処法
記念すべき100回目となる夏の高校野球「全国高校野球選手権記念大会」が甲子園で開催され、連日熱戦が続いています。そんな中、今年は酷暑ということもあって、試合中に足などが攣る選手が例年以上に多い印象があります。
この「攣る」というものがどういうもので、攣った場合、どのような対処法が良いのか。また攣らないように普段から注意すべきことなど、「攣る」ということについて、現役プロサッカー選手であるご自身の体験や指導法をもとに教えてください。
水戸ホーリーホック
安彦考真選手のリアルアンサー
「攣る」選手が出ないよう指導者も選手自身も体調管理を徹底する
僕が高校生やブラジル時代の時は非常に攣ることが多い選手でした。
当時は今よりも柔軟性もあり筋肉系のケガもほとんどなかったのですが、なぜか「攣る」という現象は頻繁に起きていました。
あれから20年が経ち、なぜかその「攣る」という現象は一度も出ていないのです。
そもそもその「攣る」という現象がなんなのか?
この点を僕の経験を基に考えて見たいと思います。
20年前と今では、明らかに肉体的な衰えがあります。しかも、練習強度は当然、プロサッカー選手としてプレーしている今の方が確実に高いことも明白です。
なのにも関わらず、「攣る」という現象がないのは何が変わったのか……。
一番は「水分摂取」と考えられます。
20年前の指導理論は「水を飲むな」という前時代的で非科学的なものだったので、当時の私も練習中に水を飲むという習慣はまったくありませんでした。
そもそも「攣る」とは、筋肉の緊張・弛緩の調節がうまく働かず、筋肉が急激な収縮・けいれんを起こしている状態をいいます。
大きな原因は、体内の水分やミネラルの不足と言われています。
体の水分が不足すると、血のめぐりが悪くなり、足の筋肉が硬くなります。また、ミネラル(カルシウム・カリウム・マグネシウム・ナトリウムなど)が不足すると、足の筋肉が硬直しやすくなります。
特に、汗を大量にかく夏場は、体内の水分やミネラルが不足して「攣る」という現象が多く見られる時期です。
なので今は、練習前の水分量や練習中の水分量をかなり意識して摂取しているため、大量の汗をかいても水分不足にならない補給ができているということだと思います。
指導者の観点からすると、「攣る」とは体内の水分不足とイコールですので、確実に脱水症状とも重なると言えます。
指導者としては、そこで我慢をさせてプレーさせることが善とみなされていましたが、それは間違いです。身体の異変が表に出てからでは遅いのですが、その時は直ぐに選手交代を考えるべきです。
そして、普段からの水分補給に工夫をし、毎日2リットルの水を24時間かけて飲みきることをお勧めします。
また通常、汗をかくことで水分が多く出る体質の人とミネラルが多く出る体質の人という2つの体質に分かれます。
自分がどちらの体質なのかを知っておくことで、水を飲めばいいのかミネラルを補充することがいいのかをわかっておく必要があります。
「攣る」は自身の体調管理不足が招く症状であると共に、指導者の管理不足、知識不足でもあるので、スポーツを教えるだけでなく、人の体の構造もしっかりと把握して、管理してあげることが必要です。