社会活動再開の前に自覚すべきこと

2020.5.13

安彦考真

安彦考真「人間力アップ」の秘訣とはーー2020年5月13日

既存のルールのもとでは僕たちは勝者にはなれない

2020年5月13日

 

緊急事態宣言が多くの都道府県で解除される見込みだ。

すでにGW明けあたりから世の中的に(特にビジネスの世界では)通常業務に戻る会社や人が増えている。

 

全世界的に拡散防止より経済が優先されようとしている。

日本中の社会活動が停止するという非現実的な時間が終わり、徐々に資本主義経済という名の競争が再開されようとしている。

しかし、この競争は自粛期間で経済的に新たなハンデを負った人が続出した中での厳しい競争となるだろう。

今まで勝てなかった勝負の場で、より厳しい戦いが待っている。

 

これまで、僕たちは「経済」優先の思考に陥り、常に「お金を稼ぐ」ことを強要されてきた。

株価をチェックし、景気を気にし、取引先の担当者の顔色を伺い、社会のパワーバランスに注視し続け、なんとかこの資本主義社会での競争の中で生き延びようと必死になってきた。

こんな競争世界の中でも「自分だけは選ばれし者」でありたいという幻想にしがみつき、虚勢を張り見栄を張り、神経をすり減らし続けてきた。

 

しかし、じつは本当の意味での「勝者」には、僕たちは決してなれない。

勝者は別にいる。

自分たちとは別の世界に住む姿が見えないこの世界の本当の勝者たち。

彼らは「資本主義経済」というルールのもと、常に勝者であり続ける。

 

〝彼ら〟が戦っているのは「勝者である」か「より勝者である」かという競争の世界だ。

僕たちのような競争の世界の住人とは持っている手札の強さが圧倒的に違うし、勝敗を決める基準も大きく異なる。

 

一方の僕たちは、この資本主義経済というルールのもとで勝つための武器をじつは持っていない。

それは奪われたのではなく、もともと持ち合わせていないのだ。

そしてそのことに気づかないように洗脳され、裸同然の状態で互いを斬りつけ合っている。

当然、刃を受けた時の傷は深くなる。

 

僕たちはそれなりに自分が優秀であると思い込もうとしている。

自分は勝者に近い位置にいると願っている。

資本主義経済の競争社会の中で戦うすべを持っていると勘違いしている。

けれど、それらはすベて幻想であり、それらは本当の勝者たちにとってとても都合の良い思い込みだ。

〝彼ら〟は僕たちが「自身が優秀であり、自身が勝者である」と思い込んでもらうことで、より搾取を強め、より多くの果実をえることができることを知っている。

そして僕らの思い込みを放置し、より拡大させようと策を練る。

 

僕たちは経済の競争の世界の中では、戦うすべを持っていないし、勝利の可能性さえ手にしていない。

僕たちは既存のルールのもとでは決して本当の勝者にはなれない。

そのことをまず自覚すべきだ。

 

歴史的な大転換を迎えている今。

生き抜くためのルールが変更されている中、以前の固定観念のままでは困難は増すばかりだ。

世の中は変わる。自分も変わらなければならない。

そう自覚した上で、戦い方を変えること。

もしくは戦う場所を変えること。

 

僕たちが資本主義経済のもとで本当の意味での「勝者」になるためには、生まれ変わって一から始めるしかない。

ただし、それは生まれた瞬間に多くの武器をすでに得られる環境下で生まれ変われるという条件付きだ。

それは現実的ではない。

だからこそ、社会全体が大きなチェンジを迎える今、僕たちは戦い方を変えるか、戦う場所を変えなければならない。

生身の体と精神に致命傷となる深い傷を負う前に……。

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