「スポーツを仕事にする」ために頭を整理するための2つのアプローチ
「スポーツを仕事にしたい!」と考える人が増えている。
スポーツに関わる仕事といっても、プロアスリートやプロコーチといった特別な才能を持つ者が就く仕事だけでなく、スポーツトレーナーやコンディショニングコーチ、整体、鍼灸鍼師といったアスリートの身体をサポートする職業、プロスポーツクラブの経営者やゼネラルマネージャー、広報担当などのバックオフィス関係、スポーツメディアのライターやカメラマンといったスポーツを報道する仕事など、スポーツに関わる仕事は多岐にわたる。
しかし、その職業のことは知っていても、「どうやったらその仕事に就けるか?」というプロセスは意外とわからない場合が多い。特にスポーツ関連の仕事はブラックボックスな面が顕著だと言える。
将来スポーツに関わる仕事がしたいと考える学生や若手社会人、またセカンドキャリアを考える現役選手など、さまざまな立場の人が「理想とするスポーツ関係の仕事に就く」ための参考になる「独立・起業」のヒントを紹介する。
livest!連載企画
「スポーツを仕事にしたい」人のための独立・転職のヒント」
livest!編集部:編
独立して「好きなことを仕事にしたい」と考えている人にとって、将来の大きな夢や目標は明確でも、「では今、何から始めればいい?」と考えた瞬間、足が止まってしまうということがあるだろう。
特にスポーツ関係の仕事というのは、「プロの選手をめざす」といった場合を別にすれば、ステップアップのための明確な道順が見えづらく、何から始めればいいか戸惑いやすいのは間違いない。
そんな時は2つのアプローチ法のどちらがイメージしやすいかを考えてみることで、新たな道が見えることがある。
夢は「スポーツを仕事にする」という共通点があっても、現在の状況や環境によって、そのアプローチは変わってくる。
学生であれば、しばらくは空振り覚悟で無謀な挑戦もできるが、すでに守るべき家庭があったりする場合、できるだけ早い段階で収入が見えることが必須事項になる。
「スポーツを仕事にする」という目標にたどり着くまでの「夢までの地図」を作成する場合、2つのアプローチ法を考えてみよう。
それは「トップダウン」方式をとるか「ボトムアップ」方式をとるかだ。
とにかく大きな夢、やりたいこと、将来的なビジョンを掲げ、その実現のために今すべきことを順序立てて組み立ていくアプローチ方が「トップダウン」方式。
そして、「まずは月●万円稼げること」という具体的な条件を立て、そのためにどんな商材やサービスが必要かを考えて行くのが「ボトムアップ」方式だ。
例えば、早い段階で月30万円を稼ぐことが必要だとなれば、「1つ30万円の商品やサービスを月1つ売る」、「1つ1万円の商品やサービスを月30人に買ってもらう」、「3000円の商品やサービスを月100個売る」など、月30万円の売上のための選択肢が明確になる。
それらの選択肢の中で、いまの自分でも実現可能そうなパターンを選択し、その実現のための準備を始めることを考える。
例えば、月30万円のスポーツ関連の仕事に就けるよう就職活動(転職活動)するのか、1時間3000円のトレーニング指導を行い、その指導が月100時間になるようにサービス内容をブラッシュアップしていくのか……自分のやりたい方法、できる方法をベースに「ボトムアップ」でやるべきことを可視化していく。
2つのアプローチでどちらかといえば手っ取り早いのは「ボトムアップ」方式だろう。小さく始めるので途中で方向転換も比較的簡単だが、そのぶん途中で頭打ちになったり、「貧乏暇なし」になる危険性もある。
一方で、「トップダウン」方式は、「スポーツを仕事にしたい」人にとってはやりたいことや夢はパッと思いつきやすいはずだが、それをどう具体化していくかと考えた時、なかなかクリアな道が見えず、最初の一歩が踏み出せないまま時間を浪費する場合もある。
当たり前だけれど「トップダウン」方式はすぐにお金にはなりづらく、「ボトムアップ」方式は夢の実現までの道のりは少し遠回りになる場合も多い。
こうなると、最後にはその人の人生観や性格に左右されるが、しかし、それくらい「自分のやりたいことを仕事にして、お金を稼ぐ」ということは大変なことだと言える。
サッカー選手でも、学生時代は「Jリーガーになって多くの人に感動を与える選手になりたい」という夢のため無心に練習に取り組むが(=「トップダウン」方式)、実際にJリーガーになったら当初の夢よりも契約内容や年俸額が思考のベースになることも少なくない。
1つ言えるのは、「スポーツを仕事にして、お金を稼ぐ」ということは、日本ではまだその道が未整備で、自力で道を拓く必要があるということ。
しかし逆にいえば、その道筋や業界の階級制度が確立していないぶん、壮大な夢を実現しやすいし、自分らしいやり方でお金を稼ぐ余地もたくさん残っているとも言える。
例えば、今シーズンから水戸ホーリーホックに40歳で加入した安彦考真選手は、クラウドファンディングを立ち上げてチームからお金をもらうことなくプロ選手として活動している。
こんなやり方をする選手は今までいなかったが、安彦選手が「自分らしいやり方」でJリーガーになるという夢を実現した参考にすべき好例だ。
スポーツには夢がある。スポーツには人に夢を与える力がある。
そんな世界で仕事をしたい人なら、より大きな夢を、自分らしい夢を掲げることが大切なことなのかもしれない。