安彦考真「新しいプロジェクト始動」

2020.3.16

安彦考真

Jリーガー安彦考真「教育」新プロジェクト(第1回)

「『教育』を通じて100年後の日本を良くする」

42歳の現役Jリーガーとして今シーズンも引き続き横浜Y.S.C.Cでプレーする安彦考真選手が、今シーズンを持って現役引退をすることとともに表明したのが「教育」の問題に深く携わるということだった。

今の私たちが生きる社会の状況や日本の現状を踏まえ、「このままでは、延長線上に続く100年後の日本は大変なことになっているかもしれない」という危機感を覚えた安彦選手が、1世紀後の次世代にどのような社会をバトンタッチすべきかを真剣に考え始めた。

そんな安彦選手の思いや行動に、思いを同じくした若者たちが続々と彼のもとに集まり始めている。

そんな中で生まれた疑問が「なぜ他競技にはオリンピックに出場するレベルのハーフ選手が増えてきているのに、日本サッカーの代表クラスにはあまりいないのか?」という素朴な疑問だった。

古くから日本サッカー界の発展に貢献し続けてくれている多くのブラジル人たち。その中で数名の帰化選手が登場し、日本代表のユニフォームを着て国際試合でプレーした。

また同時に日本には数多くのブラジル人たちが暮らしていて、日本の産業を支える一員として活躍してくれている。

それほど深い関わりのある日本サッカーとブラジル人との関係性だが、しかし日本サッカーの代表クラスにはブラジルをルーツに持つ選手があまり存在していない。

もしかすると、そこには日本に住むブラジル人にとって何か小さくない障壁があるのでは?

そしてそれが「教育」に関することなのでは?

そんな疑問を胸に安彦選手が向かった先は、ブラジル人が多く住むという神奈川県愛川町だった。

 

「安彦考真×ブラジル 移民と教育を考えるプロジェクト (仮)」

第1回 2020年3月15日

安彦考真の取材リポート

 

神奈川県にある愛川町は、僕が住む相模原市から車で30分の距離。
3月、雨が降りしきる中、20年ぶりの愛川町へ。

今回のプロジェクトのリサーチを始めるにあたり、僕の住む町の隣町でもあり、神奈川県内で「ブラジル人が住んでいる比率が高い」町、愛川町に行き、そこで生活を営むブラジル人たちに話を聞こうと思った。

まず最初に訪れたのが「サボールラティーノ」という南米食材のスーパーマーケット。
「サボールラティーノ」とは「サボール」が「味」で「ラティー」の「ラテンの」という意味。要するに「ラテンの味」に関する食材が買えるお店だ。

店主はブラジル人……ではなく、アルゼンチン人だった(笑)。

店主であるルイスは日本には25年住んでいるという。

ルイスから話を聞く前に、久しぶりのブラジルを体感するため、コシィーニャとパステルを注文し、その場で試食。
コシィーニャは日本でいうコロッケで、パステルは揚げ餃子といったところだろうか。(味は全然違うけど笑)

食事の後、店主のルイスと色々なことを話すことができた。

彼はアルゼンチン人だけどポルトガル語が堪能で日本語もできる(アルゼンチンの公用語はスペイン語)。最初は距離を縮めるためにポルトガル語で会話し、盛り上がった会話の最後の方は気がつけばお互い日本語になっていた。

リサーチ初日に僕が感じたことをまとめておきたい。

そもそもこの取材のきっかけは「何故日本代表にブラジル人ハーフがいないのだろうか」という疑問と映画「レ・ミゼラブル」をみて、移民問題が"対岸の火事"ではないと感じたからだ。

Jリーグがスタートしてもうすぐで30年になる。
Jリーグスタート時から多くのブラジル人助っ人が日本に訪れ、日本サッカー界をここまで発展させたのは彼らの貢献が大きいと言えるだろう。

そして日本とブラジルの歴史をみても、今はブラジル人が出稼ぎに来ているが、もっと前を見れば日本人がブラジルに移民として行っていた過去もある。

繋がりの深いお互いの歴史がJリーグでも生き続いている。しかし、なぜかブラジル人ハーフがサッカー界に少ない。

純粋なブラジル人が助っ人として来ているのと同時に、出稼ぎに来るブラジル人もいる。

日本で暮らし、日本で教育を受ける子どもたちもいる。しかし、そのブラジル人たちがそのまま日本で暮らし続けることはないようだ。

取材をしていて感じたのは、時代が変わり日本には地震や台風など天災が多いことが認識され始め、残業なども無制限にはできなくなった。わざわざ、地球の反対側から離れている日本まで来る理由がどんどん薄れていっているように思える。

ブラジル人にとっては家族が一番。この家族を守れる、養えるからこそ遠い遠い異国の日本まできていた。

それと同時に今まではブラジル人コミュニティだけの中で収まっていた娯楽がSNSの発展により足を運ぶ範囲が広くなり、その分日本でお金を使ってしまう若者が増えたようだ。

仕送りする分と自分の生活費。残業ができず思うように稼げない中では、結果的に生活を苦しめることになる。

リサーチを終えて、僕が率直に感じたのは、ブラジルも教育が行き届いていない現状があると感じた。

それは、生活優先になることで働くことが最初で教育は二の次。

経済格差が教育格差を生み、それが日本だとサッカーを教わるというスポーツ格差も同時に生み出している気がする。

次回の取材では、ブラジル人コーチがサッカーを教えるサッカースクールがある。
ほとんどがブラジル人か日系人だということなので、現状どんな夢を持ち、その夢の弊害になるものやこれからの可能性を聞いてみたいと思う。