40代から『人生を確変させる』ための着眼点(2020.8.25)
「人生を変えたければ『お金』のことを忘れろ!」
「夢を叶える」「自分らしい生き方を進む」
多くの人が望みながらも、ほとんどの人が手にできないものたち。
それらを実現した人の行動や考え方から学ぶことで、少しでも目標に近づくこと。
「夢を叶える」「自分らしい生き方を進む」を実現する可能性を高くするために——
40代から『人生を確変させる』ための着眼点
「人生の勝者になるために『お金の忘れかた』を伝授します」
2020年8月25日
まずは「輪の中に入る」ことを最優先させる
安彦考真選手が40歳にしてJリーガーになれた要因はいくつも考えられる。
その中でも、特にJリーグクラブとのプロ契約を手にした大きな要因は、彼が「ゼロ円での契約」をクラブ側に提案したことだろう。
40歳まで一度も国内外問わずプロリーグでのプレー経験がない〝おじさん〟を、J2の中堅クラブがプロ契約するというのはリスクが伴う。
しかし、「お金を払わなくていい」となれば、クラブ側のリスクは大きく減る。
多くのJリーグクラブには「練習生」という形で、無給で練習に参加する選手たちが在籍している。
彼らはチームの練習には参加できる権利を与えらえるが、クラブ側から一切お金は払われない。
しかし、ほとんどのクラブでは練習着が支給され、チームの公式練習以外の自主練やウェイトトレーニングなどを行う屋内施設の使用も可能となる。
チームの練習に参加して、自分のプレーを見てもらう機会を得る。
そこで高いパフォーマンスを発揮したり、自分の特性を監督やコーチ陣に知ってもらうことで、クラブとのプロ契約をめざす。
練習生としてクラブの活動に参加する選手の思惑はその一点にある。
一方で、クラブ側も実績のない選手に対してポテンシャルを測る期間を持つことができ、費用をかけずに獲得を検討する材料を得られるメリットがある。
安彦選手も最初は練習生として水戸ホーリーホックの練習に参加した。
その間、約3ヶ月。かなり長いお試し期間を経て、練習生として参加が決まっていた最終日にクラブからプロ契約を提示された。
当時、水戸ホーリーホックには安彦選手以外にも何人もの練習生待遇の選手が練習に参加していたという。
その中には、高校サッカーの名門校出身で全国大会でも活躍した10代の選手や、別のJリーグクラブでプレー経験のある若手選手など、サッカーの経歴で言えば安彦選手とは比較にならないほどの実績を持つ〝エリート〟がたくさんいたそうだ。
しかも、年齢は10代から20代前半がほとんど。40歳の安彦選手と比べても〝伸びシロ〟という意味では断然可能性を感じさせる選手たちばかりだった。
そんな練習生たちの中で、最終的にそのシーズンの練習生として参加できる期間を生き延び、水戸ホーリーホックからプロ契約を勝ち取ったのは、安彦選手ただ1人だった。
さまざまな要因があっただろう。その中でも、水戸ホーリーホックの一員となることをクラブ首脳陣に認めさせた決め手の大きな1つとなったのが「年俸ゼロ円」という安彦選手のセールスポイントだったことは間違いない。
安彦選手が40歳にしてプロ契約を勝ち取り、〝遅咲きJリーガー〟として話題となった時、この「年俸ゼロ円」が大きな注目を集めた。
そして、そのことに対する声の多くは「年俸ゼロ円は、プロサッカー選手と言えるのか?」という批判的な意見だった。
もちろん、その後、別のクラブからのオファーを受け、Jリーガーとして3シーズン目を迎えている安彦選手にもかかわらず、まだそのことに対しての批判的な声は残っている。
しかし、安彦選手は、子どもの頃からの夢だった「Jリーガーになる」という目標を40歳になってから実現し、その夢の時間を3年も続けているのだ。どれだけ批判があろうとも、その点に関しては安彦選手が「人生の勝者」となったことは間違いない。
「年俸ゼロ円でどうやって生活するの?」
そんな声もたくさん安彦選手のもとには届いているという。
しかし、安彦選手からすれば大きなお世話だ。
「所属先からお金を貰わなければ生活できない」という思考が生まれるのは、会社から毎月給料を振り込まれることに慣れ切ったサラリーマン的発想であり、むしろ、これからの世の中を生き抜く際にウィークポイントとなってしまう危険性のある考え方だとも言える。
安彦選手は「夢を叶える」ために、「自分らしい生き方を進む」ために、どうすればいいかを真剣に考え抜いた。
その結果、「優先順位を明確にする」という考えを徹底することにした。
「夢も手に入れたい」でも「生活費も欲しい」……。
多くの人に感動を与えるような仕事に就きたい、でも安定した生活は手放せない……。
ほとんどの人が、現場で足踏みしているのは、こういった「あれもこれも手に入れたい」という思考だ。
それはシンプルに言えば、「優先順位が明確になっていない」ということだ。
安彦選手は子どもの頃からの「夢を叶える」ために、今の生活の安定を捨てた。
そして、契約を検討してくれているクラブに対して、プロ契約しても「お金はいらない」と売り込んだ。
それは、「夢を叶える」ことを最優先に選択し、「生活の安定」や「お金の心配」という選択肢を完全に手放す作戦だった。
その結果、より手にしたい選択肢を勝ち取ることに成功したのだ。
よくよく考えてみれば、これは一般社会の中でもじゅうぶん起こりうる戦略だ。
絶対に勝ち取りたいコンペで、採算度外視した提案書を作成し、取引先に「お得感」を全面に出したプレゼンをする会社のように。
憧れのデザイナーのもとでどうしても働きたいと思った未経験者が、「給料はいらないので、働かせて欲しい」と売り込む時のように。
そんな会社や未経験者は、絶対に勝ち取りたい仕事や環境を手にするために、「まずは契約すること」「まずは潜り込むこと」を最優先にし、損得を後回しにして売り込む。
会社のしての収益や生活の安定は、欲しい仕事や環境を得た後に別の形で得られればいい——優先順位を明確にし、そう割り切ってアクションする。
練習生当時の安彦選手の実力が、プロサッカー選手にふさわしいものかどうかはわからない。
しかし、それは最終的に契約を決めたクラブ側が判断することであり、一般レベルでどうこう議論するものではない。
えてして、その点にこだわって狭い視野で批判を続ける人ほど、本当に得るべき「優先順位」が見えない状況なのかもしれない。
他人の行動を批判するだけなら誰でもできる。その立場は楽だ。
しかし、誰もがスーパーな存在ではないし、全知全能ではない。
そんな一般レベルに近い人が「夢を叶える」「自分らしい道を進む」ことをめざす時、多くの人が捨てられない大事なものを捨てることで、状況が大きく前進することがあるということ。
安彦選手が教えてくれたのは、普通の人が「夢を叶える」ために、大きなヒントとなるものだ。
あれも欲しい、これも欲しい……そう思っている間は、結局、欲しいものは何も手に入らないのかもしれない。
神様に選ばれた特別な存在の人を除いては……。