クラシック音楽に触れることで得られることとは?

2019.8.20

livest!編集部

【クラシック音楽】人生を豊かにする新たな趣味として

「人生を豊かにする」

大人になって始める【クラシック音楽】

「人生をもっと豊かにする」「新しい経験と出会う」ことをめざして、さまざまな実体験にトライするlivest!。
少し敷居が高いと思われていることこそ40代から始めるに相応しい——ということで、livest!が最初に選んだのは【クラシック音楽】。
誰もがよく耳にしているわりには意外と知らないクラシック音楽の魅力を、コンサートホールでのオーケストラ演奏のライブ体験を重ねることで少しずつ知っていく過程を記録。
この体験記を読むだけで少しずつクラシック音楽の魅力を知ってもらいたい——ということで、知識ゼロの状態からのクラシック音楽超初心者のリアル体験談を紹介していきます。

読売日本交響楽団「サマーフェスティバル2019≪三大交響曲≫」

2019年8月18日(日)14:00開演
東京芸術劇場 コンサートホール

クラシック音楽の始め方

クラシック音楽に触れることで得られるもの

 

読売日本交響楽団「サマーフェスティバル2019≪三大交響曲≫」を東京芸術劇場にて鑑賞。

サマーフェスティバルは数日後にも≪三大協奏曲≫公演が行われるなど、オーケストラのシーズンオフである夏の特別企画的な趣旨のクラシック音楽コンサートの1つ。この日はシューベルト「未完成」、ベートーヴェン「運命」、ドヴォルザーク「新世界から」という交響曲の人気演目が一挙に演奏される。「三大協奏曲」のコンサートでも協奏曲の人気演目3曲の演奏を一気に聴くことができるということで、お得感満載の2日間のサマーフェスティバルと言える。

1曲でも聴き応えのある交響曲の名作を連続して3曲も連続して聴くことになるこの日、観客として「最後まで集中力が続くかな?」と心配しつつ、少し気合いを入れて会場へ。
しかしよく考えてみれば、聴くだけでも体力がいる3曲を連続して演奏するオーケストラと指揮者の方々にとっては、この日の演奏は相当体力と集中力が必要になるはず。
しかも数日後にまた人気協奏曲を3曲披露する訳で、そのリハーサルだけでも大変だっただろう。

このサマーフェスティバル以外にもこの時期はさまざまな単発の特別企画が日本中で開催される。クラシック音楽ファンにとっては嬉しい季節だが、本来なら定期公演のシーズンオフとなるこの時期、オーケストラの方々にとってはオフとは言えないほどタフな期間なんだろうなぁと勝手に想像。そのぶん、観客として一生懸命聴こうと思い、席に座った。

この日の席は東劇のコンサートホールの3階。初めて3階での鑑賞だったが、ステージも見やすく、音も聴きやすそう。1階から3階までぎっしり満席状態で人の密度は高いけれど、座席が通路側だったこともあり、また座席間もそれほど狭くはないように思えるため、あまり窮屈な感じはしなかった。

夏休みということでもう少しファミリーやお子さんを連れた親子も多いかと思って胃たが、さすがに交響曲3連発はお子さんにはハードなのか、意外とお子さんの姿は少ない。そのぶんご年配の夫婦での来場が非常に多かった印象。

海外でもクラシックコンサートの会場は、年齢層が高めになるのは同じだろうけれど、日本でのクラシックコンサート会場の平均年齢は相当高いんじゃないだろうか。
自分自身、若い頃からもっと聴きに来れば良かったと、今、クラシックコンサート会場に来るたびに毎回思う。
もちろんご年配のお客さんが多いことが悪いという意味ではまったくなく、若い人たちももっとクラシックコンサートに気軽に足を運び、普段は触れないような刺激を受け、さまざまな活動のきっかけになるような機会がもっと増えればいいのに……とふと思ったり。

クラシック音楽は歌詞がないため、予備知識が強い好奇心がないとどうしてもとっかかりが掴めず、なかなか積極的に聴きに行こうと思えない。
しかもクラシックコンサートでは、J-POPコンサートのようなMCが基本的にはないので、曲の解説や鑑賞のポイントを知ることもできないということもある。

ベートーヴェンの「運命」やドヴォルザークの「新世界より」といったメジャーな曲はまだ聞いたことのあるフレーズも多く、初心者でも最後まで鑑賞に耐え得る曲と言える。けれどクラシックコンサートで演奏される多くの曲は、学生時代の音楽の授業でも触れることのない曲であり、余計にとっかかりが掴めず、思わず睡魔に襲われて気づけば演奏が終わっていた……なんてことも否めない。

読響だけでなくN響など、それぞれのオーケストラが夏休み期間には子どもや初心者でも楽しめそうなプログラムを工夫した公演を数多く開催しているが、あまりに初心者や子どもに振りすぎると、今度はクラシック音楽好きにとって物足りないコンサートになってしまい、結果、興行として成立しないというジレンマもあるはず。
その絶妙のさじ加減の中で、それぞれのオーケストラの方々は創意工夫しながら、毎夏さまざまな企画を提供してくれているように感じる。

この日のコンサートも東劇の大きな会場が満席となっていて、クラシック音楽好きはたくさんいることを改めて実感。
けれど、学生の時期や社会人になったばかりの10代、20代の人たちがもう少しクラシック音楽に触れる機会が増えれば、すぐに何か新しいアイデアが生まれることはなくても、いつかどこかに誘導してくれる経験の土台がより厚くなるような気がする。

個人的に強く感じること。
それは、別にクラシック音楽に精通する必要はなく、感性がまだ多感な若い時期にクラシック音楽のような長い歴史の中で紡ぎ続けられた芸術に触れるだけでも、その後の人生や仕事に何か変化が生まれるのではないだろうか。
ただ若い頃こそ、さまざまな刺激が周囲に溢れているため、わざわざ睡魔に襲われるクラシック音楽を選択するということが難しいことも経験上とてもよくわかるので難しい問題ではある。

今夏のサマーフェスティバルは両日とも、指揮を執るのはマルチェロ・レーニンガーさん。読響では初の指揮ということでしたが、この日の交響曲では若さ溢れる躍動感ある素晴らしい演奏を聴かせてくれた。
読響のオーケストラも、体力を使う交響曲3曲を最後まで情熱的な演奏で、特にベートーヴェンの交響曲第5番「運命」はとても素晴らしい演奏に感じた。

こうやって一度に3人の作曲家の代表作となる交響曲を一気に聴くと、改めてそれぞれの作曲家が奏でる曲の特徴や世界観の違いを改めて感じることができる。
そして、それぞれの曲は普段のコンサートではメインディッシュとなるような曲なのに対して、この日は前後にもメインディッシュが立て続けに用意されたぶん、それぞれの印象が残った状態で続けて聴くぶん、普段とはまた違った印象に感じるように思えた。

同じ交響曲でも、それだけに集中して聴くのと、前後の余韻を残しながら聴くのでは、結構印象が変わるということを知れた1日だった。
数日後には今度は三大協奏曲ということで、また新たな発見があるはず。今から楽しみだ。

読売日本交響楽団「サマーフェスティバル2019≪三大交響曲≫」

2019年8月18日(日)14:00開演
東京芸術劇場 コンサートホール

【出演】
指揮:マルチェロ・レーニンガー
読売日本交響楽団

【曲目】
シューベルト:交響曲第7番 ロ短調「未完成」
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調「運命」
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短「新世界から」

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