ミュージカル「パレード」

2017.5.30

livest!編集部

ライブ体験記

ミュージカル「パレード」

 

 

「実力派俳優たちが織りなすエンタテインメントな憎悪劇」

 

ミュージカル「パレード」は実話を元に創作されたミュージカルで、南北戦争後、まだ人種差別が根強く残るアメリカ南部での冤罪事件がテーマ。

「実話を元にした人種差別をテーマにした公演」と聞くと、重く暗い舞台を想像するが、「パレード」は必要以上の暗さや重さを感じさせない素晴らしいミュージカルだ。

 

冤罪で逮捕される主人公を演じる石丸幹二さん、その妻を演じる堀内敬子さんら、元劇団四季で活躍された実力派俳優が素晴らしい演技と熱唱を披露し、武田真治さん、岡本健一さん、新納慎也さんら実力&イケメン俳優たちが脇をしっかり固めて、エンタテインメントとしても楽しめ、人種差別による冤罪というテーマを改めて考えさせられるメッセージ性も溢れる舞台だった。

 

堅物で仕事一筋、妻にも冷たい態度だった石丸幹二さん演じる主人公が、冤罪事件に巻き込まれ、部下たちが裁判で告げる嘘の供述に傷心し、諦めの境地で恐ろしい現実を受け入れつつある中、夫の無実を晴らすために奔走する妻の愛に触れ、徐々に心をひらいていくーーその演技や歌声に魅了されるだろう。

 

また、本来シーンごとに毎回幕が降りて細切れになる場面転換を、照明を効果的に使うことで同じ舞台上で場面転換がスピーディーに行われることで、物語への集中が途切れることなく入り込める演出が素晴らしかった。

 

 

ライブ体験は平日の昼間の公演だったが、舞台好き&ミュージカル好きの観客で満席状態。エンディングではスタンディングオベーションを沸き起こり、ミュージカル好きでなくても楽しめる公演だ。

 

 

ミュージカル「パレード」

<公演スケジュール>

2017年5月18日から6月4日まで

東京芸術劇場

 

<キャスト>

石丸幹二・・・レオ・フランク(鉛筆工場の工場長、北部出身のユダヤ人)

堀内敬子・・・ルシール・フランク(フランクの妻、南部出身のユダヤ人)

武田真治・・・ブリット・クレイグ(新聞記者)ほか

新納慎也・・・トム・ワトソン(政治活動家)ほか

小野田龍之介・・・フランキー・エップス(メアリーの親友)ほか

坂元健児・・・ジム・コンリー(鉛筆工場の清掃人、黒人)ほか

藤木孝・・・ローン判事(担当判事) ほか

石川禅・・・ヒュー・ドーシー(ジョージア州検事)ほか

岡本健一・・・スレイトン知事(ジョージア州知事)ほか

 

 

<スタッフ>

作:アルフレッド・ウーリー

作詞・作曲:ジェイソン・ロバート・ブラウン

共同構想およびブロードウェイ版演出:ハロルド・プリンス

演出:森新太郎 翻訳:常田景子 訳詞:高橋亜子

振付:森山開次 音楽監督:前嶋康明

美術:二村周作 照明:勝柴次朗 音響:山本浩一 衣裳:有村淳 ヘアメイク:鎌田直樹

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