プロサッカー選手はどのような暑さ対策をしているのか?
Jリーガーが教える夏休みに向けた「プロ仕様の暑さ対策」
リアルアンサー
2018年7月20日
酷暑が続く毎日、プロサッカー選手はどんな暑さ対策をしていますか?
Jリーガーをめざす学生サッカー選手たち、夏休みに入って日中の活動が増える子どもたちに「自分でできる暑さ対策の参考にしてほしい」という形で、食事や睡眠時など、安彦選手や選手や寮で一緒に暮らす選手たちの「プロアスリートとしての暑さ対策」を教えてください。
またチームとして、特にプロクラブに入って知った意外な暑さ対策などあれば、夏休み期間暑い中での練習が続く学生チームも参考になると思いますので、ぜひ教えてください。
安彦考真選手のリアルアンサー
食事と睡眠をしっかり摂り、毎日の自分の体調をしっかりチェックすること
今年の暑さは尋常じゃないくらいの気温になってきているので、所属クラブの水戸ホーリーホックも所属選手も暑さ対応には相当気を使っています。
先ずは、毎朝の尿チェックは必須です。その日の水分量の目安になるので、必ずチェックしています。
そのあと練習前に尿の色をチェックします。黄色ではなく透明に近ければ、練習前としてはOKです。黄色い尿は水分不足の合図なので、色が濃ければ濃いほど水分が不足している証なので、そのぶん摂取する水の量も増えます。
(朝一で尿が濃いのは水分不足が原因ではないこともありますが、普段からアスリート並みに身体を動かしている人は常に注意をしておきましょう)
ただ、尿の色が濃いということで摂取する水分が増え、結果、水でお腹が膨れて朝食が取りにくくなったりするので、寝る前の水分補給は非常に大切になってきます。
練習中もかなりの量を取るようにしています。しかもそのタイミングはウォーミングアップの時。
どうしても練習が始まるとこまめには水分補給できないので、練習前の尿の色をチェックして(!)ウォーミングアップ中に量を変えています。そうすることで、熱中症を避けるとともに、ふくらはぎの痙攣などの予防にもつながります。
それから食事に関しては、鯖や鮭といった魚類、ブルーベリーなどの果実を多く摂取しています。
魚のDHA、EPAによる作用で心肺機能向上、体脂肪燃焼、痛みの予防と緩和などが促進されます。特に夏は走ることが苦しく感じる時期なので、朝食に鯖を食べることで心肺機能向上のアシストをしてくれます。
(朝食は鯖の水煮缶もしくは鮭の中落ち缶がお手軽で効果抜群です)
特に雨の日は日射量が減るためビタミンDが不足しがちになるので、積極的に鯖や鮭を食べるようにしています。
ビタミンDは体内で生成されます。ビタミンDには、食物からのカルシウム吸収を促し、血液中のカルシウム濃度を一定の濃度に保つ働きがあり、骨格を健康に維持するのに役立つと言われています。
ブルーベリーに関しては、アントシアニンによる血管の保護・強化、循環機能の改善が期待できます。それから体の老化や種々の疾患に深いかかわりのあるといわれている活性酸素を除去する抗酸化作用があるので、疲労回復には最適なフルーツと言われています。
練習後、補助食としておにぎりもいいですが、ブルーベリーをお勧めします。
また、卵の白身がいいと言われていましたが、出来るだけ黄身を食べるようにしましょう。
卵の白身にはビオチンを奪う要素があります。ビオチンは補酵素として働く栄養素で、代謝をサポートし疲労感を感じにくい体にしてくれます。それを白身が奪ってしまうので、この暑い夏に疲労感を感じにくい身体にしてくれるビオチンが奪われるのは、決していいとは言えないです。
ただし、火を通せばビオチンが奪われることはないので、その点を加味した上で、調理してください。
ここまで、口から摂取するものでお伝えして来ましたが、ここからは外からの刺激で改善できることを2つ紹介します。
一つは、睡眠です。
睡眠は身体の臓器を休ませるためにも、食後4時間後がベストと言われています。また脳を休めるためにも、就寝2時間前からゲームなどをやめ、寝るときには携帯を枕元から1.5m話したところにおいて寝てください。
僕はゲームをしませんが、枕元にあった携帯を1.5m離すだけで熟睡度と寝起きのスッキリさが大きく変わります。脳と身体をバランスよく休めないと、そこにギャップが生まれ、暑さで感受性が鈍り怪我に繋がることがよくあります。
もう一つは、アイスバスです。
これは多くのアスリートが行なっているので、皆さんもトライしたことがあると思いますが、氷を入れた水風呂に1分~2分で構わないので、半身浴もしくは全身で浸かってください。めっちゃめちゃ冷たいので、しっかり耐えてください。笑
練習後にすぐアイスバスができる環境がない方は、冷水でいいので、一旦身体を冷やすことをトライしてみてください。練習中も血管の太いところに水をかけることも体温を下げる手段になるので、合わせてトライしてください。
具体的には左右の股関節や脇の下や首に氷を挟んだり水をかけたりしましょう。そこに太い血管があり、多くの血液が流れてます。上記の箇所を冷やすことで血液が冷え、全身に冷たい血液が流れる。その結果体温下がりやすくなり短い時間で疲労回復促進につながります。
身体を冷やすことで、血中の乳酸濃度も下がるので、乳酸が溜まりやすい人は必須です。