第1回|「人生100年時代」自分らしく生きる選択をする

2025.4.21

伊部塁 「人生再構成」BLUEPRINT代表

第1回|人生の「問い直し」の時期に訪れる「このままでいいのか?」という感覚

――BLUEPRINT|伊部塁の人生再構成コンサルティングより

 

好きなことをしながら、キャリアを積んできた。

責任のある立場に就き、ある程度の評価も得て、生活も安定している。

普通に見れば「順調な人生」と言って差し支えないように見えただろう。

 

けれど、ふとした瞬間に、心の奥底から静かに聞こえる声があった。

「……このままでいいのだろうか?」

 

焦っているわけではない。大きな問題があるわけでもない。

ただ、自分の中のどこかに微かな違和感が引っかかり続けていた。

40代半ばで、そんな感覚が常に自分の中につきまとっていました。

 

「違和感」は、不満でも迷いでもなく、“問い”である

この違和感は、明確な悩みや不安とは少し異なっていました。

むしろ、日々を真面目に生きているからこそ芽生える、静かな問いだったのかもしれません。

 

昔ほど仕事に情熱を感じられなくなった

実績を重ねても、なぜか以前ほど充足感が得られない

周囲の期待に応えることや評価を得る嬉しさが感じられない

 

そんなふうに、これまで当たり前だったことが、

40代を突き進む中で、少しずつしっくりこなくなっていきました。

自分の内側で起こるそうした変化を、無理に抑え込もうとして余計に苦しむことが続きました。

 

しかし、しばらく経って気づきました。

これは、「新たなステージに向かえ!」という運命からの信号なのかもしれない、と。

 

キャリアの先に必要なのは、「納得できる物語」

これまで、私たちは「成果」や「評価」を軸に働き、仕事に邁進してきました。

その積み重ねは確かに意味あるものだったし、そこに誇りを感じている方も多いはずです。

私も、編集者やプロデューサーとして、夢中で走ってきた20年がありました。

けれど40代を迎える頃、

人は少しずつ、「外からの評価」よりも「内側からの納得」を求め始めるということに気づき始めたのです。

 

自分は何を大切にして生きていきたいのか

どんな瞬間に、心がワクワクするのか

残りの人生で、自分は何を残していきたいのか

 

そうした問いが浮かび上がってくるのは、決して弱さだったのではなく、

むしろ成熟の証だったのだと、今の私は確信しています。

 

「答え」を出す前に、「問い直す」時間を

ここまでの私の話を読んで、共感する人もいるかもしれません。

「自分もそうだ」

「今、まさにそんな感覚だ」と。

 

焦りを感じているかもしれません。

漠然とした不安を抱えているかもしれません。

でも、実際にそんな時期を経験した立場から明言します。

「すぐに何かを変えなければ」と焦る必要はないということを。

大切なのは、いきなり答えを見つけようとすることではなく、

問い直す時間そのものを大切にすることだと私は思っています。

 

私はコロナ禍をきっかけに仕事の現場を一度離れ、

ずっと心に抱えていた「憧れ」、「いつかやってみたい」と願っていた、

大学に通い直して、哲学や歴史、芸術や心理学を学び直す時間を持ちました。

 

そこには学生時代のようなテストも、数字の評価もありません。

だからこそ、ただ単に知識を得るため、解答を覚えるということではなく、

むしろ「自分自身の内側に耳を澄ます」ための時間という意識で臨みました。

 

自分の過去のさまざまな経験やその時の記憶をじっくりと思い起こし、

感動や衝動、ワクワク感など、心が激しく動いた瞬間を拾い集め、

これからの残りの人生を「新しい視点」から見つめ直す……。

そんな時間をじっくりと持つことができたからこそ、

私は今、未来に対して前向きな気持ちで向き合えるようになったのです。

 

BLUEPRINTという場所

私が現在展開している人生再構成コンサルティング「BLUEPRINT」は、

このような問いを抱える方々と、静かに、丁寧に対話を重ねていくための場所です。

 

派手な目標設定や劇的な変化を促すものではありません。

短期間で大金を稼ぐことでも、名声を得ることをめざすものでもありません。

むしろ大切にしているのは、

「自分の過去」と、これからの人生のワクワクするような「可能性」とを、

ひとつの物語としてつなぎ直していくこと。

 

編集者として、これまで多くの人の言葉を引き出してきた経験を活かしながら、

今度はあなたの人生の“編集作業”に寄り添っていけたらと思っています。

 

 

自己内省ワーク|静かに自分へ問いかけてみる時間

この文章を読んでくださったあなたが、

もし少しでも共鳴するものを感じてくださったなら、

以下の問いを、心の中でそっと反芻してみてください。

最近、「このままでいいのだろうか」と感じたのは、どんなときでしたか?

その違和感の背後には、どんな本音や願いがあったと思いますか?

子どもの頃、あるいは若い頃、何をしていると時間を忘れるほど夢中になっていましたか?

答えはすぐに出なくても構いません。

大切なのは、「問い直す時間」を持ち始めること。

それが、人生を再構成する最初の一歩になるのだと思います。

 

次回は、第2回:「好き」や「得意」を棚卸ししてみると、自分が見えてくる をお届けします。

副業や転身を考える前に、自分の中にある“素材”を丁寧に見つめ直すことの大切さについて綴ります。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

どうか、あなた自身の静かな問いに、少しでも寄り添えていますように。

伊部 塁

 

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