第5回|「未来を変えるために、今を変える」
――BLUEPRINT|伊部塁の人生再構成コンサルティングより
「再構成」という言葉には、何か大きな決断や、大胆な変化を伴うイメージがあるかもしれません。
けれど、私がこの言葉に込めているのは、もっと穏やかで、もっと日常に根ざした意味です。
それは「自分の中にあるものを丁寧に拾い直し、いまの暮らしや働き方に、少しずつ反映させていく」ということ。
人生の方向を変えることは、必ずしも劇的である必要はありません。
むしろ多くの場合、未来は“小さな始まり”から動き出すのだと、私は実感しています。
「始めること」と「決めること」は、まったく別の行為
BLUEPRINTのセッションを受けられた方から、よくいただくご感想があります。
「何かを“決めなくてもいい”と思えたことで、気が楽になった」
「まず“やってみる”ことにゴーサインを出せたのが、大きな変化でした」
これまでの人生では、「決断してから動く」ことが求められてきた方も多いはずです。
けれど、人生の後半を再構成していくときに大切なのは、「まず、やってみる」ことに自分を開いていくことです。
それは副業でも、趣味の延長でも、人に話すだけでも構いません。
完璧なビジョンよりも、「動いてみること」そのものが、自分にとってのヒントになります。
行動のハードルは、驚くほど低くていい
「自分らしいキャリアを再構築したい」
「これからの働き方を変えたい」
そう思ったとき、多くの方が無意識に“完成形”を求めてしまいます。
起業プランを練ったり、発信戦略を考えたり、資格を取得しようとしたり。
もちろん、それもひとつの選択肢です。
でも、BLUEPRINTで私が大切にしているのは、もっと素朴な行動の始まりです。
たとえば:
興味がある分野について、週に1回だけ調べてみる
noteやSNSで、感じたことを少しだけ言葉にしてみる
身近な人に、「実はこんなことに興味があって」と話してみる
そうした小さな試みのなかにこそ、“やってみた自分”が感じるリアルな手ごたえがあります。
“再起動”は、静かでやさしいものでいい
これまでをがむしゃらに駆け抜けてきた人ほど、人生の後半を「変えなければ」と強く思いがちです。
そして、ビジネスシーンで染み付いた効率的や合理的という視点で、常に選択肢を出し、どれを選ぶのが一番得かと考えがちです。
しかし、私たちが提案する「再構成」というのは、即効性優先でも、劇的に生まれ変わることでもありません。
むしろ、自分がすでに持っているもののなかに、「これから」の芽を見つけ、それにやさしく光を当てていく行為です。
だからこそ、再起動の第一歩は、無理なく、軽やかに、自分のペースで始めていいのです。
BLUEPRINTが目指しているのは「動ける自分」への回復
私がBLUEPRINTという名前を選んだのは、自分の人生の“青写真”を、もう一度、自分の手で描いていくことを支えたかったからです。
一人ではなかなか気づけなかった「価値観」や「得意」や「願い」を、対話のなかで少しずつ言葉にしていく。
そして、いまこの瞬間の自分にできる一歩を一緒に見つけ、そこから“動ける自分”を回復していく。
すべての始まりは、たった一つの問いや行動から。
それが、次の物語への扉になるのだと、私は信じています。
自己内省ワーク|“小さな一歩”を見つける3つの問い
このシリーズの最後に、今日から試していただける問いを置いておきます。
最近少しだけ「気になっていること」はありますか?それを誰かに話すとしたら、どんな言葉を使いますか?
過去の自分が「いつかやってみたい」と思っていたことの中で、今なら“少しだけ”できそうなことは何ですか?
今の自分にとっての「軽やかな一歩」とは、何かを始めることではなく、何を“試してみる”ことでしょうか?
ノートに書いてみてもいいですし、心のなかでそっと考えてみるだけでも構いません。
おわりに:再構成は、自分自身への静かな手紙
全5回のこのシリーズを通して、もしあなたの中に何かが少しでも動いたなら、その“わずかな揺らぎ”を、どうか大切にしていただけたらと思います。
私たちは人生の途中で、何度でも立ち止まってかまわない。
そして、立ち止まったからこそ描ける「次の章」が、きっとあるはずです。
BLUEPRINTは、そう信じて、これからも丁寧に、言葉と対話を重ねていきたいと思っています。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
伊部 塁